「フランコ・グッリ・バイオリン国際コンクール」ソリスト部門で第1位になった 塚本 禎(てい)さん 辻堂太平台在住 24歳
調和と響き、大切に
○…国際コンクール初出場での快挙だ。世界20カ国以上から新進気鋭のバイオリン奏者がエントリー。3回の予選と最終本選を経て第1位に輝いた。今年1月、イタリア・ローマに2週間近く滞在し、まち並みや文化遺産など全てのものが新鮮に映った。目にも心にも。「自分に重圧をかけることなく、チャレンジャー精神のフレッシュな気持ちで演奏できた」と笑顔で振り返る。
○…東京音楽大学大学院の研究生。藤沢市民交響楽団に所属する父から手ほどきを受け、4歳でバイオリンを始めた。スポーツも好きで、辻堂小学校に上がるとサッカークラブにも入団。「3年生まではゴールキーパーだった」と苦笑い。バイオリンのレッスンに通いながら、湘南工科大学附属高校ではテニスに打ち込み、同楽団での演奏活動も続けた。
○…「調和を感じながら周りの人たちと音楽を作り上げていくことが楽しい」。趣味として音楽を楽しむつもりだったが、人生の岐路に立ったとき、選択したのはやはり音楽の道だった。大学1年の終わりに故・小澤征爾さんの音楽塾に参加。そのときの経験が忘れられない。「リッスン、リッスン」―。周りの音をよく聴け。世界で名をはせた巨匠はそう繰り返した。一音一音にかける集中力と情熱。音楽の神髄を指導から感じ取り、「演奏家として聴く耳を育てなければ」。コンクールで快挙を果たす原資にもなった。
○…市役所ロビーで受賞記念コンサートに出演。「想像していた以上に大勢の方が来てくれてびっくり」と目を丸くする。9日には藤響の創立65周年記念定期演奏会にも出演する。「派手なスタイルではなく、音色と質にこだわりたい。目標はまた聴きたいと思ってもらえる演奏家」
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