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鎌倉 人物風土記

公開日:2014.02.14

開発した「しらすの沖漬け」が「神奈川なでしこブランド」の認定を受けた
矢野 ふき子さん
岡本在住 45歳

「料理で笑顔と活力を」

 ○…県が新設した「神奈川なでしこブランド」に、開発に携わった「しらすの沖漬け」が認定された。獲れたてのしらすを漁船の上で特製ダレに漬け込むことで、日持ちがする上、酒の肴としてもご飯にも合う逸品だ。「認定をきっかけに、鎌倉、神奈川生まれの味としてもっと多くの人に知ってもらえたら」と微笑む。

 ○…「偶然の出会いと人のつながりで生まれた商品」と開発の過程を振り返る。最初に仕込みを依頼した材木座のしらす漁師「もんざ丸」の前田惠三さんは、試作品が出来上がるとすぐに「ぜひ商品化を」と打診してきた。それを機に本格的なタレ作りに着手。「想像以上の味に手応えはありましたが、彼の言葉が背中を押してくれた」。前田さんは2012年に脳梗塞で56歳の若さで急逝したが、彼が魅了され、世に広めたいと願ったその味は、いま着実にファンを広げている。

 ○…生まれも育ちも鎌倉。大手都市銀行に勤めた後、結婚し一男一女の母として子育てに家事に忙しい日々を送っていた。転機は2002年。料理好きが高じて「鎌倉ダイニング」という料理教室を自宅で始めた。今では約40人の生徒を抱えるまでに。商工会議所と連携し鎌倉の食材を使った四季のレシピを監修したり、廃棄されるカタクチイワシを使った「鎌倉アンチョビ」を開発するなど、料理研究家として活躍中だ。

 ○…休日は映画館や美術館に出かけることも多い。「この前は特別公開の襖絵を見るために夫と日帰りで京都に行ったんですよ」と穏やかな表情を浮かべる。レシピを思いつくのはこうしたリラックスした時。新メニューを食卓に並べ、家族から意見を仰ぐことも。「この組み合わせは良くないよ、とか結構厳しいんです」と笑う。「食卓をともにして会話することも料理の一部。食べることで笑顔になり、それが明日の活力になったらうれしい」。そんな幸せな時間のため、味覚の探求はこれからも続く。

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