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鎌倉版 公開:2015年1月1日 エリアトップへ

新春市長インタビュー 「3月末までに候補地決定」 新焼却施設建設へ決意

政治

公開:2015年1月1日

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取材に答える松尾市長=昨年12月12日、市役所で
取材に答える松尾市長=昨年12月12日、市役所で

 タウンニュース鎌倉編集室では、2015年の年頭にあたり恒例の市長インタビューを行った。このなかで松尾崇市長は、今年4月から実施される家庭系ごみの収集有料化について、市民に「前向きに取り組んでほしい」と呼びかけたほか、新しいごみ焼却施設の候補地決定のスケジュール、治安・風紀の悪化が問題となった海水浴場について、飲酒や音楽の規制に乗り出す考えなどを明らかにした。(聞き手は本紙鎌倉編集室編集長、井方照雄)

 ――2014年を振り返ると、ごみ処理問題に対する市民の関心が高かったと思います。特に家庭系ごみの有料化については、一体で実施予定だった「戸別収集」の先送りや条例案の不備による取り下げなどもあり、実施時期が当初予定の昨年7月から今年4月へと遅れました。

 「実施が遅れたことについては、大変申し訳なく思っています。ただ有料化そのものはごみを減らしていくために、重要な取り組みです。また、次世代のためにいかに環境負荷を減らしていくかを、今一度、多くの方に考えてもらう機会にしたいと考えています。取り組み自体に賛否はあると認識していますが、前向きに捉えていただけたらと思います」

 ――有料化で市民から徴収したお金はどのように活用していきますか。

 「有料化により1年間におよそ3億5千万円を徴収させていただく見込みです。このうち有料袋の制作費など必要経費を除いた約2億5千万円を、新たなごみ焼却施設を作るための費用等として活用します。使途を明確にして、取り組んでいきます」

 ――有料化開始までの取り組みは。

 「市民向け説明会の開催を中心に、各自治会町内会からも要請があれば、必ず伺って説明をします。また、ごみの収集車にステッカーを貼ったり、市の広報、HPに情報を掲載するほか、新たに分別パンフレットを作成し、全戸に配布予定です。あらゆる手段で周知を図っていきます」

 ――有料化とセットで実施する予定だった「戸別収集」についてはどのようにお考えですか。

 「有料化を実施した後、減量効果やごみの組成、不法投棄の状況などを一定期間検証し、戸別収集の実施について最終的に判断していきたいと思います」

海水浴場での飲酒・音楽規制へ

風水害への取り組み強化

 ――(戸別収集の)実施について判断する時期は。

 「まずは有料化の状況を半年ぐらいかけて検証しますので、その後、できる限り早く判断したいと考えています。戸別収集はかなりコストがかかるのではないか、という意見も沢山いただいています。いかにコストを下げ、効率的な戸別収集のやり方が提示できるか、もしくはごみ処理全体にかかる費用を圧縮して、戸別収集の費用を捻出することができないか、ということを庁内で検討しながら最終的に判断します」

 ――来年度中にも戸別収集実施の結論が出る可能性があるということですか。

 「そうです。もともと私は一昨年の選挙で『戸別収集・有料化』を公約としました。ですから、より多くの方に納得していただける方法というものを導き出していく必要があると考えています」

 ――新しいごみ焼却施設の整備が急務です。改めてどういう規模、性能のものが必要だと考えていますか。

 「現在、年間のごみ処理量を3万トン以下にすることを目指しています。新しい施設もそこをベースに、災害時の対応なども考えて1割加算した年間約3万3千トンを焼却できる施設を検討しています。ごみ焼却施設と言うと、まず迷惑施設という捉え方をされてしまうのですが、現在は技術革新が進んでおり、発電や余熱利用などが可能となっていますのでこうした利点を含め、近隣の方からも賛同を得られるような施設にしていかなくてはいけないと考えています」

 ――昨年6月の議会で新ごみ焼却施設の候補地として、4カ所(野村総合研究所跡地、深沢地域総合整備事業区域内市有地、山崎下水道終末処理場未活用地、深沢クリーンセンター用地)が示されました。最終的に候補地を決定するスケジュールは。

 「鎌倉市ごみ焼却施設基本計画の策定を諮問している生活環境整備審議会(生環審)の用地検討部会が、1月中に検討結果を生環審に報告する予定です。そこから生環審で審議をし、2月末に審議会から答申をいただいた後、市として、3月末までに候補地を決定する予定です」

 ――候補地を決定する際に重視する点は。

 「4カ所それぞれ一長一短ありますから、様々な点を総合的に判断し、最適地を選びたいと思います」

 ――4カ所以外が選択肢になる可能性は。

 「基本的には今ある4候補地から選択していきます」

 ――建設はいつごろまでの目標ですか。

 「2025(平成37)年度の稼働を目標にしています」

海水浴場「健全化」

 ――昨夏、海水浴場の治安や風紀の改善を目指して「鎌倉市海水浴場のマナーの向上に関する条例」を制定しました。

 「条例の制定により職員や警備員が巡回しマナーを守らない方に直接声かけするということで、一定程度の効果はあったと考えています。しかし、市への苦情や犯罪発生件数が倍増するなど、健全化について課題が残ったと考えています」

 ――「課題」というのは。

 「まず、飲酒によるトラブルです。飲んで大騒ぎしたり、ゴミを放置したまま帰ったりということが多く見られました。あとは音楽を大音量で流すことで、周囲への迷惑や雰囲気の悪化がありました。また、海水浴に来た人が駅まで帰っていく間のマナー違反、風紀の悪化によって住民にかかる負担も改善しなくてはならないと捉えています」

 ――どのように改善を目指しますか。

 「条例を強化していきます。具体的には砂浜での飲酒と、音楽は一切禁止しようと考えています。それから海の家の営業時間を午後8時30分までにする、ライブイベントに特化した営業は禁止することも併せて検討していきます。これから開かれる海水浴場のあり方・ルール協議会で話し合っていきます」

 ――罰則も設けるのでしょうか。

 「罰則と言う事にはならないと思いますが、禁止事項として位置付けて指導し、改善されない場合は退去させるなど厳しく対応していくことになります」

 ――条例改正案を議会に提出する時期は。

 「2月議会を予定しています。今回『キッズ&ファミリービーチ』を一部で設けましたけれども、全ての場所で子どもがのびのびと遊べる海水浴場を目指していきます」

ロードプライシング

 ――市長はロードプライシング(課金による自動車の流入抑制)の導入検討を明言しています。現在の進捗を教えて下さい。

 「2017(平成29)年度での実証実験を目指して、鎌倉市交通計画検討委員会で検討をしてもらっているところです。そこでは実施日を、土日祝日など交通の混雑する時間帯だけにしたらどうか、という考え方が示されています」

 ――実施に向けた課題は。

 「課金方法です。ETCをどう活用するかが、鍵ですが、全ての車両に設置されているわけではありません。シンガポールやロンドンなど諸外国の例も踏まえ、どのような方法が鎌倉に適しているのか、ということが一番課題だと考えています」

 ――徴収したお金はどのように活かしますか。

 「具体的にはこれから検討しますが、商業、観光振興に利用できる仕組みにしていく必要があると思っています。それから鎌倉市は道路に対する市民満足度が低いので、バリアフリー化や歩道の整備等、道路整備を加速させるためにも活用できれば、と思っています」

風水害対策

 ――昨年10月の台風18号では、大船駅東口など複数の場所で大規模な冠水が発生しました。風水害への対策は。

 「まずは市民への情報提供ですが、災害の際に避難するべきかどうかの基準として、台風18号の時に鎌倉市として初めて避難勧告を発令しました。また災害情報を携帯電話に発信する『エリアメール』はこれまでドコモだけでしたが、今後はドコモ以外の主要な会社の携帯電話に発信できるように取り組みを進めています。市民の皆様にはお住いの地域にどのような危険があるのか、平常時からの周知啓発を更に行っていきます。もう一つは集水施設の充実です。大規模な冠水があった大船駅東口に近い柏尾川流域では、砂押川上流に雨水貯留施設を、コミプラを転用して作っていくということを考えています。同じく大規模な冠水があった手広・梶原地域では、排水能力の少ない大塚川から余裕のある新川へ分水をするという取り組みをしようと決めています。それから腰越地域では、西鎌倉住宅地内にコミプラを転用した雨水貯留施設の設置を考えています。これらは今後、取り組みを進めていきます」

岡本2丁目マンション問題

 ――岡本2丁目のマンション問題について、土地所有者から土地の寄付を受けて、市ではそこに複合施設を建設すると表明しました。この問題自体についての考えを改めて聞かせて下さい。またどのような施設をいつごろまでに整備しますか。

 「交渉が難航し、ここまで長い時間がかかってしまいました。しかし、多くの職員が粘り強く頑張ってくれた結果、私としてはいい結論が出たと考えています。また寄付をいただいた関係者にも感謝しています。市としては『健康・福祉・子育て・青少年などに関する行政課題の解決に資する施設』を造っていくという一つの方向性を持っています。より具体的には、大船駅直近ですので、駅を日常的に利用する子育て世代を支援するようなものにしていきたいと考えていますが、近隣の皆さんのご意見を丁寧に伺いながら進めたいと思っています。まずは2015(平成27)年3月までに『用地活用の基本計画』を策定する予定です。施設建設の時期については、これまで時間がかかった分、できる限りスピード感をもって、進めていきたいと考えています。そのために、段階的な整備も視野に入れて、早期に着手することも検討しています」

 ――地域住民からマンション工事にあたって壊された市道の復旧を求める声があります。

 「市道の復旧については、近隣の皆さんの意見を伺いながらということが大前提ですけれども、『用地活用の基本計画』に沿った土地利用の中で、一体的に解決していければ、と考えています。寄付を頂く前は仮設の階段でいいから早く通れるようにしてほしい、という要望がありました。しかし仮設で造っても、施設の建設工事に入るとすぐ壊すことにもなりかねません。それでも仮設の階段が必要か、本設をできる限り急ぐのか、一番ご迷惑をおかけしている近隣の方々のご意向を、可能な限り尊重していきたいと思っています」

「交流」深める1年に

 今年の意気込みを「交流」と言う文字にした松尾市長。現在進めている公共施設の再編計画では、多世代が交流できる施設の複合化により、拠点の集約を検討しており、ほかにも全庁的に多世代交流の取り組みを進めていくという。

 また、姉妹都市やパートナーシティ制度により関わりがある国内外の都市との「都市間交流」を広げるほか、鎌倉や源頼朝公に関係する日本中の都市との交流を深めたい、と語った
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