3年間のイタリア留学を終え、4月21日に市内で帰国記念公演を開くオペラ歌手 藤田 彩歌さん 鎌倉市出身 30歳
「歌で心に彩りを」
○…文化庁の新進芸術家海外研修制度を利用して約3年間イタリアに留学し、最高峰と言われるミラノ・ヴェルディ音楽院大学院オペラ科を首席で修了した。4月21日(土)には鎌倉生涯学習センターホールで記念公演を開催する。「小さい頃から30回近く立った思い出のホール。成長した姿を地元の皆さんに見てもらいたい」と語る。
○…音大出身の母の影響で、5歳からピアノを始めた。その一方、中学、高校では演劇部に所属。当時、ミュージカルに感銘を受け、「自分も歌唱力を向上させたい」と市内の教室で声楽も学び始めると、その才能を見出され、講師から歌の道を薦められた。次第にオペラ歌手への夢が膨らみ、東京藝術大学では声楽科、同大学院ではオペラ科で学んだ。大学院での公演では、衣装制作なども経験。「オペラには役者と裏方が一体になって創り上げる面白さがある」と総合芸術としての奥深さに一層のめり込んでいった。
○…「本場で学びたい」と渡ったイタリア・ミラノでは、現地の大学院での厳しい稽古が続いた。そうした日々を支えてくれたのが、ホームステイ先の家族。「イタリア人は日常的にハグやキスをするなど、愛情表現が本当に豊か。私のことも家族同様に接してくれたので、ホームシックには全くならなかった」と笑って振り返る。引退した音楽家のための老人ホームで歌を披露する機会にも恵まれ「一線で活躍した大ベテランたちの前で何度も歌うことで、舞台度胸が付いた」。2016年にミラノで行われた日伊国交150周年記念式典ではソリストとして日本の民謡を歌い上げ、両国の聴衆を魅了した。
○…今年1月に帰国。料理が趣味で、本場仕込みのイタリア料理やスイーツを作ることも多いという。今後については「今の自分に満足せず、公演を続けて多くの人にオペラの魅力を伝えたい」。溢れる情熱を歌声に込めて挑戦は続く。