鎌倉市は4月1日、「鎌倉市公共の場所におけるマナーの向上に関する条例」を施行した。食べ歩きや周囲の迷惑となる撮影を自粛するよう観光客らに求めるものだが、罰則がないことなどから実効性を疑問視する声も。果たしてまちの風景は変わるのか―。
この条例は、観光客や市民に市内にある公共の場所において「迷惑行為」を行わないよう求めるもの。
制定のきっかけは2014年、ハイキング愛好団体が「山中を走るトレイルランはハイカーと接触事故を起こす危険がある」として、市内ハイキングコースでのタイムレースや団体走行の禁止を求める陳情を市議会に提出し、採択されたこと。
市はハイキングとトレイルランの愛好団体と協議し、禁止や規制を前提とした条例化を検討してきた。一方で小町通りなどでの食べ歩きや、人気アニメ「スラムダンク」に登場した鎌倉高校前駅近くでファンらが車道に立ち止まって撮影する行為が増えたことなどに対し、近隣住民から苦情が寄せられていたことから、市は市内全域でマナーの遵守を促す条例の制定を目指すことを決めた。
2月市議会で可決
条例案が市議会2月定例会に提出、可決されると「鎌倉で食べ歩きが禁止になる」などとして各種メディアに取り上げられ、大きな話題となった。
しかし実際には「エリアが広範で監視が難しい」などとして、罰則を設けない「理念条例」となっている。小町商店会の高橋令和会長は「未だに食べながら店に入ってくる人や、ごみを隠して捨てる人もいるなど、大きな変化はない。行政の対応には限界がある」として『八幡宮の参道です。マナー守って鎌倉散策』と標語を記した旗を通りに設置するなど、独自の取り組みを進める。
市は今後、看板やチラシなどで条例の周知を図る予定で、すでに天園ハイキングコースなど7カ所にチラシを貼付したほかパトロールを実施。また外国人にも分かりやすい絵文字の導入や多言語化も検討するとしている。
条例施行後、市民から「マナーを周知するだけでなく、罰則を定めるべきだ」という意見や、食べ歩きされる可能性の高い商品を提供する店舗から「市公式の頒布物がほしい」といった問い合わせなどが寄せられているという。市は「商店会などとも協議しながら粘り強く周知していく」としている。
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