鎌倉市内の海岸では近年、砂の流出により常設トイレの入り口と砂浜との間に数十cmもの段差が発生し利用者を悩ませている。市ではその度に整地作業を行っているが、しばらくすると再び砂が流出する「いたちごっこ」の状態が続く。スロープの補修など根本的な対策には費用面の課題もあり、市は対応に苦慮している。
市内の海岸で常設トイレがあるのは由比ヶ浜と材木座。それぞれ2カ所ずつ設置されており、季節に関係なく自由に利用できるようになっている。
問題が起きているうちの1つ、鎌倉海浜公園(由比ガ浜地区)の近くに設置されているスロープつきのトイレでは、ここ数年、潮の満ち引きや台風などにより、海岸の砂が大量に流出。その度に入り口と砂浜との間に段差が発生しているという。
よく由比ヶ浜を利用しているというサーファーの男性は「ひどい時には段差が70cmほどになり、大人でも上ることが困難な場合があった」と話す。
記者が取材に訪れた5月17日時点でも、約60cmの段差が確認できた。手すりにつかまって、無理やり段差を乗り越える利用者の姿もあり、子どもや高齢者、障害者が利用するのは困難な状況だ。
市では、利用者からの連絡を受けると、状況を確認した上で、重機を使って別の場所から砂を運び、段差を無くす整地作業を行っている。しかし、時間が経つと天候などの影響で、再び段差が生じる状況が続いている。
市観光課は「海開きまでに対策をしたいが、台風などのたびに砂が減り、作業が追い付かない」と頭を悩ませている。
根本的な対策として、トイレのスロープや階段を延長する方法もあるが、同課によれば、車いすでも安全に利用できるゆるやかな傾斜を保つには、ある程度のスペースの確保が必要で、費用もかさむという。そのため、「現状は引き続き、整地による対応を可能な限りしていきたい」としている。
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