新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的とした政府の緊急事態宣言が、5月25日に解除された。鎌倉市は、市立小・中学校を6月1日から再開させることを決定。感染防止策を徹底したうえで、段階的に通常登校へと戻す方針だ。県の要請により休業していた飲食店、物販店なども営業を再開しているが、感染の第2波への不安が残るなか、「新たな生活様式」に合致する販売・接客スタイルの確立へ、現場の模索が続いている。
市立小中6月から
鎌倉市は5月25日、市立小・中学校の6月再開に向けたスケジュールを発表した(左表)。
当面はクラスをA・B2グループに分けた分散登校を実施。徐々に授業時間を増やし、短縮登校から通常登校へと戻す。
分散登校では特に低学年の子どもが家庭で1人にならないようにするなどの配慮が求められるため、グループ分けについては各学校が柔軟に決定するとしている。
感染防止策として毎朝、各家庭で検温を行い、シートに記入したうえで学校に提出して体調を把握。授業中は机の間隔を空けるなどして「密」となる状況を避けるほか、換気やマスク着用、手洗い、うがいの徹底などを続ける。
夏休みは8月1日から23日までで、通常より約3週間短くなっている。市教育委員会では「当面はグループディスカッションを避けて講義中心になるなど、授業のスタイルも変わらざるを得ない。課題が明らかになったら、その都度対処していきたい」とする。
感染防止、老舗も工夫
飲食・物販店なども、顧客と従業員の感染防止を図りながらの営業再開となった。
「鳩サブレー」の豊島屋は5月27日、若宮大路沿いの本店で営業を再開した。店舗入り口にはアルコール消毒液を設置、従業員はフェイスガードを着用したうえで接客を行っている。
他の市内店舗も順次営業を再開しているが、従業員の多くは依然として出勤日数を減らしており、当面は時間を短縮しての営業となる。同社広報では「店内で密集状態が発生しないような動線の工夫なども至急決定していきたい」と話す。
山ノ内の精進・懐石料理店「鎌倉鉢の木」は、4月8日から店内での飲食を中止してきた。緊急事態宣言発令中は弁当販売などを行ってきたが、藤川譲治社長は「2カ月が本当に長く感じた」と振り返る。
同店ではまずはランチのみ、5月30日からの営業を決めた。店内ではアルコール消毒等を徹底するとともに、案内は個室を中心とする方針。個室以外は客数を通常の3分の2程度に制限するなどして、客同士の距離を保つ予定だ。藤川社長は「店を開けてみないと分からないことが多い。お客様のご要望も伺いながら、段階的に対応していきたい」とした。
あじさい鑑賞予約制も
4月下旬から拝観を中止していた建長寺や円覚寺などの市内寺社も時間短縮や一部施設の閉鎖を継続しながら、6月1日から拝観を再開する。
6月は例年、あじさい鑑賞のために多くの観光客が鎌倉を訪れる。そうした名所の一つ、長谷寺では6月1日から30日までの期間、境内のあじさい路での鑑賞を「往復はがきによる事前申込制」とした。1日の入場者数も午前500人、午後500人に制限する。
同寺では「参拝の際はマスク着用を促すほか、具合の悪い人については入場を遠慮していただくこともある」とする。
「明月院ブルー」と呼ばれる色鮮やかなあじさいで知られる明月院は消毒などの感染対策を行ったうえで6月1日から、「平日のみ」拝観を再開する。時間も午前9時から午後4時までに短縮。フォトスポットとして人気の丸窓の観覧は中止する。同寺では「今は県外など遠方からの来訪は控えてほしい」と話している。(5月27日起稿)
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