フラワーアーティストとして鎌倉を 拠点に活動する 前田 有紀さん 市内在住 41歳
「好き」を追いかけて
○…「今日1日がハーブを通して豊かなものになりますように。乾杯!」。由比ガ浜のレストランでハーブを題材にしたワークショップの冒頭、参加者に向けて声が弾む。当日朝に市場で仕入れた花々を、それぞれの特徴や生産地、農家の情報なども伝えながらブーケに束ねていく。「花のある暮らし」を提案するフラワーアーティストは参加者たちのブーケ作りに温かい視線を送りつつ、「楽しいですね」と笑みを添えた。
○…テレビ朝日のアナウンサーとして約10年活動。アスリートをはじめ各界で活躍する人々にマイクを向ける中で、こんな思いが胸を突いた。「好きなことをしている人は輝いている。自分もそうしたら、人生がどう変わるんだろう」-。横浜で生まれ育ち、自然に触れる機会が限られていたからか、映画や本に登場する花に心惹かれた。多忙なアナウンサー時代、無色だった部屋に花を一輪、二輪と飾り始めると「暮らしに彩をもたらしてくれた」。
○…テレビ局を2013年に退社。半年間のイギリス留学でフラワースクールに通い、帰国してからも花屋で3年修業。その後起業し、花を移動販売したり、イベントを企画したり。売れ残った花は、児童養護施設に寄付する。
○…5年前に鎌倉へ。自然の中での子育てとともに、「子どもが世界へ出たときに日本文化を伝えられるように」と古都を選んだ。コロナによって、仕事の軸足は東京から地元へ。2児の母は子ども向けイベントも頻繁に開き、「地域に根ざした活動をいっぱいしたい」。自然を享受し、セカンドキャリアを受け入れてくれる鎌倉で見たい光景がある。「私がおばあちゃんになった時、街を歩くとどの家にもお花が飾ってあるといいな」