市役所の深沢地区移転を巡り、鎌倉市議会は12月26日、市が提出した「鎌倉市役所の位置を定める条例の一部を改正する条例」を否決した。位置条例改正には、出席議員の3分の2(18人)以上の同意を必要とするが、26人のうち16人の賛成にとどまった。市は内容を精査し、今後の市議会で再び賛否を問う。
市役所所在地を現在地「御成町18番10号」から移転予定地「寺分字陣出8番8」に改正することを定めた位置条例改正案。特別多数議決案件に該当し、出席議員の3分の2以上の同意を必要とする。出席議員26人(議長含む)のうち、賛成16人、反対10人だった。
松尾崇市長は、「今回の結果を重く受け止め、私自身が先頭に立ってさらに広く理解をしていただけるよう努め、1日でも早く実現できるよう全力を尽くしたい」とコメントした。
費用や交通面に課題
採決前に行われた討論では、賛成議員から「現庁舎の老朽化や耐震強度を考慮すると、被災時に業務継続が困難となる恐れがあり、早急な移転が必要」という意見や、「危惧していた道路整備と交通渋滞の対策について、16日の建設常任委員会で検討案が提示され、改善を必要としている認識が持てた」という声があがった。
一方で反対議員からは、深沢地区を新たな中心地とするまちづくりの視点が定まっていない点や、「公共交通の整備について希望的観測を述べるだけで、具体的な見通しが立っていない」という指摘があった。また建設常任委員会で、村岡・深沢地区の土地区画整理事業の事業費を50億円以上増加したことが公表され、「予算の先行きが不透明で慎重な判断を」という意見も出た。
市長「待ったなし」
採決の結果を踏まえて松尾市長は、「南海トラフ巨大地震の40年以内の発生確率が90%程度と言われる中、発災時に司令塔となる本庁舎の建替えは、待ったなしの状況である」と説明。さらに、「持続可能な市政運営を進めるために、公共施設再編は最重要課題であり、市民の命と暮らしを守るために実現しなければならない」と話した。
鎌倉市は、新庁舎の供用開始を2028年度に予定し、跡地となる現庁舎の利活用も本庁舎移転後の29年度以降を目指している。位置条例改正案は、市が議会への再提出に向けて、取り組み内容を精査していく。
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