鎌倉 人物風土記
公開日：2023.09.29
安国論寺の住職で、10月から「おてら食堂」を主催する
平井 智親（ちしん）さん
大町在住 59歳
海外仕込みの｢地域貢献｣を
○…誰でも食事・交流ができる地域食堂「おてら食堂」を10月から毎月第１日曜日に開く。会場は、自身が住職を務める大町の安国論寺。市内で地域食堂を開く（一社）ふらっとカフェ鎌倉、地域包括支援センターを担う（社福）きしろ社会事業会との共催だ。大学生や小学生、農園など、地域の協力者が多いのも特徴。「もっとお寺を知って、気軽に来てもらうきっかけになれば」
○…佐賀県出身。立正大学大学院で仏教を学び、仏道へ。「『日蓮宗の教えは世界で一番』という言葉が本当か確かめたかった」と国際布教師を希望。ハワイやロンドン、カリフォルニアなど、26年にわたり、海外での布教に励んだ。各地で悩まされたのが文化の違いと訛り。「カフェテリアでよく分からないままＹｅｓと答えて、思っていた料理が出てこないことも」と笑う。
○…安国論寺の52代目住職として、鎌倉に来たのは２０１８年12月。キリスト教徒の多い地域で重視される「地域貢献活動」に尽力してきた経験があり、鎌倉でも何かできないかと思案してきた。市とは、観音堂を災害時の帰宅困難者向けの施設として開放する協定を締結。地域の交流企画「鎌倉市１００人カイギ」にも参加。昨年のハロウィーンでは、ダース・ベイダーの被りもので子どもたちを迎え、驚かせたことも。
○…「寺・墓・葬式の３離れが進んでいるが、こちらからアプローチしていかないと」。今回のおてら食堂も地域に安国論寺を知ってもらう契機になればと考える。「寺は、人が亡くなった時のためのものと思われがちだが、心を落ち着かせたり、散歩したり、生きている人のためのものでもある」。今後も縁をつなぐべく、海外仕込みの地域貢献活動に挑戦する。
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