鎌倉市が坂ノ下に建設を予定する漁港の、完成予想図ができあがった。漁具倉庫や船揚場などを整える一方で、規模は最小限に留める「漁業支援施設」。建設に向けた基本設計や海の土質調査、測量業務が完了したことから、市は完成予想図を作成。10月下旬から、近隣住民らへ説明を進めている。
漁具倉庫、船揚場魚の一時保管場所
漁業支援施設の整備地は、国道134号のカーブに沿った鎌倉海浜公園坂ノ下地区の海側。施設整備には埋め立て工事を伴うため、環境に配慮して機能などは必要最小限とする。
施設整備の目的は、坂ノ下から材木座にかけた場所で活動する漁師たちの漁業環境改善。現在、砂浜に停まる漁船や点在する漁具倉庫を集約するため、新施設には複数の倉庫と作業スペース、船揚場を設置する。さらに、魚を一時的に保管することのできる共用棟を建設する。
市は今春までに漁具倉庫の基本設計を終え、埋め立てに関する土質調査と深浅測量業務が6月までに完了。今後は工事事業者を選定し、2025年度中に着工したい考え。2031年度の完成を目指す。
坂ノ下や材木座の漁業環境整備を巡っては、1953(昭和28)年まで遡る。漁師たちが防波堤設置を市議会へ要望するも、財政事情から事業化されず。その後も、漁港建設を含めた要望が再三あがるものの、周囲の理解や環境面で話がまとまらなかった過去がある。しかし検討は重ねられ、2020年、鎌倉市水産業振興計画に「漁業支援施設」が盛り込まれた。
整備を進める市農水課は「鎌倉の水産業が持続していくため、環境を整えたい」と話す。
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