児童書作家で地域活動にも参加する 村上 雅郁さん 鎌倉市在住 33歳
希望の種をまきたい
○…デビュー作『あの子の秘密』(フレーベル館)で2020年児童文芸新人賞を受賞。22年には、『りぼんちゃん』(フレーベル館)が第1回高校生が選ぶ掛川文学賞に輝く。子どもの成長や心の動きを描く児童書作家は、「種をまく仕事」と生業を表現する。「子どもたちが本を読んで楽しかった、おもしろかったと思い、気づきがあればうれしい。その場で何にもならなくても、後になって花が開けば」
○…2019年12月6日のデビュー以降、『かなたのif』など含め5作を世に送り出し、昨年12月6日にはこれまでの作品のスピンオフとなる6作目『ショコラ・アソート』(ともにフレーベル館)を刊行。2歳から暮らす鎌倉での活動にも積極的だ。2年前に母校玉縄中の開校50年記念で講演するなど、キャリア教育の一環で学校から声がかかる。「呼ばれたら行く」。子どもの視点を持ち、子どもの側に立ちたいという作家にとって、児童や生徒との交流はプラスだ。2月には中高生の居場所COCORUかまくら(二階堂)で、中高生とのおしゃべり会にゲスト参加し「話を聞く大人であろう」との思いを強くした。
○…小学2年生の時、学校で読み聞かせをしてくれた教諭の言葉が心に残る。「読書はエンターテインメントだ!」。本を読み、文章を書くことが好きになっていった少年は、大学在学中の2011年から本格的に児童文学の創作を始めた。時代や社会と向き合い、子どもたちに希望を届ける。過去には不登校も経験し、子どもが生きやすい世界を主張する。
○…「希望を書くからには大人としての責任がある。生きるに値する世界に」。微力だけど無力ではない-。外に出て散歩、家の中でも歩き回って物語を巡らす。