鎌倉市消防団団長に就任した 安齊 勘一郎さん 佐助在住 62歳
受け継ぐ郷土愛
○…祖父や父に続き、消防団の制服に身を包んだのは25歳の時。「まさか自分が団長になるとはね」と照れ笑いで頬をかく。火事や災害が起きれば、いの一番に現場に駆け付ける地域の守り人。前団長や先輩たちから受け継いだ使命を「しっかり果たしたい」と大きな背に負う。
○…地震や水害などが続く近年の状況に、「いつ鎌倉に起きてもおかしくはない」と気を引き締める。大船渡市や今治市での山林火災から、30代の頃に稲村ガ崎周辺の切り立った斜面で起きた火災を思い出した。当時の市営プールからホースをつないで崖を登り、やっとの思いで鎮火した時には、熱でボロボロに溶けた長靴に煤だらけの顔。命の危険は身近に潜む。その怖さを知るからこそ、活動には厳しく、仲間には優しくなれる。
○…市内をくまなく見守るために必要な消防団員の定数は440人。しかし、就任した4月1日時点の団員数は399人。「何としても団員を増やしていきたい」と願いは切実だ。定年の延長や学生消防団活動認証制度など、積極的に門戸を開く。近年は女性団員も増加傾向にあり、10人程が在籍。細やかな心配りなど、新しい風が吹いている。
○…江戸時代から7代続く農地を継ぎ、年間30種ほどの野菜を出荷する。「今は春のダイコン。冬と違ってサラダが最高だよ」とニンマリ。父は漁業も行い、大量のワカメを袋詰めしてトラックで配達する姿は今も鮮明だ。その背を追った自分と同じように、長男が今年からイチゴ農家として新たな道を歩み始めた。「赤字にならなきゃいいけどね」と茶化すが「自分も新しく始めるならイチゴを考えてた。我が子ながら良い狙い」と、隠しきれない喜びに思わず頬が緩む。
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