地域イベント「御成祭」を主催する 廣瀬 一彦さん 小町在住
郷土愛と誇り力に変えて
○…経営コンサルティングの仕事を経験し、生まれ育った鎌倉を改めて見渡した時、湧いてきた感情は「もったいない」だった。海があり山がある。古の武家や神社仏閣、文化人の足跡が至る所にある。なのに他の観光地に比べ宿泊客や消費額が低い現実。「何かできないか」。郷土愛は、若い心に火をつけた。
○…オーバーツーリズムが叫ばれて久しい。しかし、「『混んでいるから来ないで』ではなく、受け入れる工夫を考えたい」。思いついたのは、目玉となるイベントと地域への回遊性。「御成祭」では、自信を持って紹介できる飲食や体験ブースの出店者を厳選してスカウト。謎解きイベントはあえて有名スポットを外した地元民ならではのルートを設定することで、動線を分散して課題を解消する。「上手く機能してくれたら、今後のイベントのモデルケースにもなるはず」
○…御成を中心に江戸時代から続く地主の13代目。若い頃から家業を意識し、大学やコンサルタント業で経営を学んだ。当主を継ぎ、人生の岐路にあわせて(株)鎌倉匠人を立ち上げた。御成祭は会社のお披露目を兼ねた打ち上げ花火。今後は民泊事業やまち歩きコンテンツ開発などを視野に入れる。「ただ泊まるのではなく、体験イベントなどを絡ませた付加価値の高い民泊を模索中。観光消費額が少ないというのはむしろチャンス」。まちの課題に鋭く切り込む。
○…イベントが目の前に迫り深夜まで会議が続く。社会人になってから知ったサウナの快感がマイブームだが、しばらくはお預け。「今は何よりもワクワクが勝ちますよ」と、瞳は一層輝く。鎌倉の魅力は「ゆとりと優雅さ、そして住む人たちの鎌倉愛」。柔和な笑みに、代々受け継ぐ当主の矜持が滲む。
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