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鎌倉 人物風土記

公開日:2025.05.09

円覚寺山内 佛日庵本堂で10回目の「北鎌倉狂言の会」を公演する
和泉 元彌さん
狂言師・俳優 50歳

狂言の未来を拓く

 ○…鎌倉幕府の8代執権・北条時宗公が中国・宋より招いた無学祖元禅師により開山された円覚寺。開基である時宗公を祀る墓所のある、同寺の塔頭(たっちゅう)寺院・佛日庵で狂言を披露し続け、5月11日の公演で10回目を迎える。2001年に放送されたNHK大河ドラマ「北条時宗」で主演を務めたことがきっかけとなり、撮影終了後に同寺に狂言を奉納したことで縁がつながった。伝統芸能の発信に尽力する同寺の協力に感謝を示し、「10回という大きな節目。人の思いが重ならないとつながっていかないと思う。鎌倉に毎年帰ってくることができてうれしい。2人の姉、史上初女性狂言師の和泉淳子、十世三宅藤九郎をはじめ、一門総出主演の公演が楽しみ」とほほ笑む。客席が近い贅沢な空間。「北鎌倉の新緑を感じながら遊びにいらして」

 ○…600年近い歴史を誇る和泉流宗家。狂言師の家に生まれ、実父とも師弟という世界で育った。4歳で初舞台を踏み、「泣きながら」稽古に励んだ日々。「父に褒めていただいたのは片手もない」と苦笑し、「稽古後、泣き止むまで励ましてくれたのは母だった」と懐かしむ。21歳で宗家継承。先代宗家の実父が亡くなってからは「ジェットコースターのような人生だった」。さまざまな重圧を感じながらも歩みを止めなかったのは「狂言の未来を切り拓いていきたいから」。

 ○…プライベートでは2002年に俳優の羽野晶紀さんと結婚。2人の子に恵まれた。子どもたちも成長し、稽古をつける時間も増えた。50歳を迎えた今、「もっと社交的になろう」とゴルフデビュー。新たな交友関係も生まれ、「新しい世界に飛び込んでいく重要さを感じている」。すべての活動に共通することは「狂言の普及」だ。

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