鎌倉 人物風土記
公開日:2025.11.14
鎌倉プリンスホテルで写真展「富嶽写景」を11月20日から22日に開催する
原田 寛さん
鎌倉市在住 77歳
自らの心に問い続ける
○…鎌倉を拠点に、京都や奈良など歴史を伝える街にこだわり続ける「古都グラファー」として、数多くの写真集や著書を発表してきた。11月20日から始まる作品展では、鎌倉から見える富士山をテーマに選んだ。「いつも富士を見ている人にこそ来ていただきたい」。色彩や光、構図の妙など、写真だからこその表現が新たな魅力となって、見る者を惹きつける。
○…東京都で生まれ育った。小学生の時に訪れた大仏との出合いの衝撃が、鎌倉愛の原点。最初は「どうやってこんな大きい物を作ったのか」という疑問と驚きからだったが、足繁く通ううちに鎌倉の自然や神事、寺社など奥深さに触れ、ライフワークとなっていった。社会人になり、探訪に少し物足りなくなってきた頃に始めたのが、カメラだった。風景や行事から始まり、花、海、建造物などを写すなかで、作品を求める声が増えていった。今やプロ写真家として知られ、全国的な観光雑誌などの表紙を飾ってきたが、「実はカメラは独学なんだよ」と笑う。
○…自身の教室では、生徒に必ず「なぜ?」を問いかける。たった一輪の花をなぜ撮ろうと思ったのか、なぜそこに感動したのか。心の奥に思いを巡らせて答えを見つけた時、目の前の景色を切り取った写真は一枚の作品に変わる。その薫陶を得た愛弟子たちは、数々のコンテストでも活躍している。「やっぱりうれしいですよね。生徒の作品から学ぶ時もあります」と目を細める。
○…鎌倉に居を移して27年。古都へ赴く時は夫人が連れ添う。昨年は初めて夫婦共著の写真集を出版した。「直感でとらえた古都の魅力を言語化してくれる」という良き伴侶と、歴史香る景色を写し続ける。
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