若者を応援する「キララ賞」を受賞した、「さんかく農園」の代表を務める 柳下 貴士さん 寒川町在住 30歳
農園からよりよい社会へ
○…誰でも車いすでも農作業が体験できる「さんかく農園」を2022年、藤沢市獺郷に開園。1組ずつ丁寧に教え、無農薬・無化学肥料で栽培した野菜を手渡し、値段は一定の範囲内で体験の満足度や経済状況などに応じて顧客に決めてもらう。新しい農園運営の仕組みを構築し、持続可能な農業やインクルーシブな社会の実現を目指す取り組みが評価され、生活クラブ生協・神奈川が主催する第33回「キララ賞」(かながわ若者生き活き大賞)をこのほど受賞した。「方向性を迷った時期もあった。評価をいただき改めて頑張っていこうと思った」と決意を強いものに。現在、約3反の畑で常時10数品目の野菜を育てている。
○…横浜市出身。中学・高校時代はバスケットボールに打ち込んだ。高校2年のときに東日本大震災が発生し、被災地でのボランティア活動を知り「心動かされた」。理学療法士の資格取得を目指し進んだ大学でボランティア活動を本格的に開始。フィリピンでの活動を通じて世界の貧困問題や生産者と消費者の格差などに関心を持ち、適切な消費社会のあり方を模索した。家庭菜園を始め、生産現場に触れることで農業や環境に対する人々の意識が高まり、消費までの過程をより公正なものに変えていけるのではないかと実感。大学卒業後は理学療法士として働き、藤沢市内の有機農家で1年間研修を積んだ後、農家に転身した。
○…開園に先立ち、農園からの距離が近く、「落ち着いた地域に魅力を感じた」と寒川町に転居。休日は公園を散歩したり、県水道記念館で水道の歴史を学んだり、アクティビティを楽しむ。「今後は人材を育成し、横展開を図りたい。よりよい社会へ納得するまで自分なりの答えを見つけたい」と意欲を燃やす。
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