今年の9月から10月にかけて行われる国勢調査は、大正9年の第1回目からちょうど100年の節目にあたる。ある時刻に人がどこにいるのかを全国一斉で記録する国家プロジェクト。その実施に向けた寒川村(当時)の綿密な準備や啓発の様子が、町史編さんに携わった及川清秀氏の研究から読み取れる。
調査では寒川村を、18の区域に分けた。各区で調査票を配り回収する調査員には適任者として選ばれたのは、主に村長や助役、青年会長などの経験者。滞りなく調査するため、期日前に世帯主たちに練習用の用紙に書かせ、調査員が訂正を入れて役場に送り、村長が完璧かどうかチェックする徹底ぶりだった。現在は大部分がマークシートとなっている。
当時の調査では10月1日の0時時点で、その人がどの場所にいるのかが重視された。帰宅を促すためか、飲食店の前夜の営業は9時までとされ、それ以降も滞在すると、その場所の「準世帯」として扱うルールだったらしい。
調査前日には小学生による旗行列が各地を練り歩き、学校には「国勢調査宣伝歌」なるものが配られた。前夜の10時、当日早朝5時と申告書を回収する8時には寺院の鐘を鳴らして村民に知らせるなど、緊張感が伝わってくる。
しかしこの前夜から、県内全域が死者を出すほどの豪雨に見舞われた。寒川村も水が下腹部に達した地域もあったが、そうした中で調査員たちは申告書の回収を終えたのだった。調査の結果、村の人口は5364人と判明した。
今年は戸別訪問も「非対面」
今年の国勢調査は「対面しない調査」とし、従来のような調査の説明は直接せず、インターホン越しで行われる。調査書類の配布も原則郵便受けかポストに入れられるほか、できる限りオンライン上での回答を促すという。調査員の募集にも影響が出ているため、配布や回収期間も例年より拡大する方針だ。
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