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小田原・箱根・湯河原・真鶴 人物風土記

公開日:2014.06.14

早川サッカークラブでコーチを務める
中村 望さん
市内本町在住 24歳

伝えたい、感謝の想い

 ○…「のんちゃん、のんちゃん」。彼女を呼ぶ子どもたちには、いつも笑顔が溢れている。

 ○…高校3年生だった7年前、かつて在籍していた早川SC(サッカークラブ)にコーチとして戻った。小田原にある小学生チームの女性指導者第1号。「これまで支えてくれたクラブや地域に感謝しているんです。だからこそ、早川の子たちを成長させてあげたい」と恩返しを誓う。今年からは市サッカー協会の技術部に入り、少女たちのレベル向上にも力を注ぐ。

 ○…早川小2年のとき、友達の男の子に誘われて早川SCへ。最初は同級の女の子が5人もいたが、6年になるとチーム全体で1人だけ。プロチームの女子下部組織などに進む選択肢もあったが、「人見知りなので遠くにいきたくなかった」という。城南中ではサッカーから離れ、バドミントン部に。県大会出場を果たすも、物足りなさを感じた。「個人競技だからみんなと喜べない」。そんな想いが、再びピッチへと向かわせた。秦野曽屋高の女子サッカー部で、攻守の要となるボランチとして活躍。国内トップリーグのチームから声がかかった。が、「地元を離れたくない」と、プロへの道を自ら断った。

 ○…高校卒業時、目標は何もなかった。仕事も迷った。そんな状況を救ってくれたのが早川SCだ。「しっかり働かない人間に、子どもを教える資格はない」。コーチという役割が、自身を前へ進ませた。現在は、湯河原の歯科医院で受付を担当。休診日の木曜、土日は練習に参加する。休みのほとんどをサッカーにあてる年頃の女性を周囲は心配するが、「今がすごく楽しい」と気にするそぶりはない。

 ○…3年前、なでしこジャパンがW杯で優勝したとき、うれしさよりも「自分もそこまで行けたかも」という悔しさがこみ上げた。今でもそう思う。それでも、育った場所でサッカーに携われていることが、彼女を笑顔にするのかもしれない。

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