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大雄山線が開業100年 参詣客から市民の足へ

文化

公開:2025年1月1日

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開業当日(1925年10月15日)の大雄山駅。最乗寺参詣客の輸送を目的に開通した。写真提供:伊豆箱根鉄道株式会社
開業当日(1925年10月15日)の大雄山駅。最乗寺参詣客の輸送を目的に開通した。写真提供:伊豆箱根鉄道株式会社

 伊豆箱根鉄道大雄山線が今年10月、開業100年を迎える。最乗寺への参詣鉄道として開業し、時代とともに役割を変え、これからも生活や観光の足として地域とともに走り続ける。

 大雄山線は1925(大正14)年10月15日に開通した電気鉄道。最乗寺参詣客の利便を図るために建設された。当時は「大雄山鉄道株式会社」と称し、株主には最乗寺山主や信徒らが名を連ね一丸となって鉄道事業を盛り上げたという。建設中に関東大震災に見舞われながらも、地鎮祭から約2年で開通に至った。

 開通当時の区間は仮小田原駅から大雄山駅の全7駅、約9・0Km。35(昭和10)年には国鉄小田原駅構内まで路線が延長し、現在の全区間約9・6Kmが完成した。41年に戦時統合令により駿豆鉄道株式会社と合併、57年に社名の改称を受け「伊豆箱根鉄道大雄山線」となった。

 開業当時の利用客の8割は最乗寺参詣客であった。33年に大日本セルロイド株式会社により足柄工場(現・富士フイルム(株)足柄サイト)が建設されると定期利用客が増加。また事業所や工場の開業、高校の開校により通勤・通学で利用されるようになった。駅数も増加し、56年に富士フイルム前駅が新設されると現在数の12駅になった。

記念列車運行中

 開業100周年を記念し伊豆箱根鉄道では特別列車を運行している。最乗寺をイメージした朱色の「天狗電車」、南足柄市の花をイメージした「リンドウ電車」、小田原市特産の柑橘類をテーマにした「オレンジトレイン」が沿線地域を走り抜ける。

「大雄山線の発展を地域の発展に」伍堂文康社長インタビュー

 100周年という大きな節目を迎えるにあたり、これまでの大雄山線の歩みと今後の展望について、伊豆箱根鉄道(株)の代表取締役社長である伍堂文康氏に話を聞いた。

 --大雄山線が100年という長い歴史を築いてきた中で、どのような役割を果たしてきたとお考えでしょうか。

 「大雄山線は大雄山最乗寺への参詣鉄道として開業しました。それ以降、多くのお客さまの生活・観光の足として、地域の発展に寄与してまいりました。現在は沿線に企業や高校があり、多くのお客さまの通勤・通学の足としてご利用いただいております」

 --大雄山線の日々の運営で特に注力されていることは何でしょうか。

 「まず何よりも、安全運行、安定運行が運営の基本であることは言うまでもありません。そのうえで最近では、地域との取り組みを深めることに注力しており、その取り組みの一つに大雄山線の副駅名(ネーミングライツ)の導入があります。沿線のスポンサー企業さまとの連携強化により、沿線のにぎわい創出を目指しています。またCBTC(無線式列車制御システム)の導入など、地方鉄道ならではの技術革新にも挑戦しています」

 --今後を見据えた時、大雄山線をどのように発展させていきたいとお考えでしょうか。

 「今後の10年、50年先も大雄山線が地域の皆さまに信頼され、愛される存在になることを目指し、時代の変化・お客さまのニーズを感じ取り、将来を見据えたチャレンジを絶えず続けていきたいと考えます。これからも大雄山線の発展を地域の発展につなげるべく、走り続けてまいります」

 --最後に、沿線地域の皆さまに一言お願いいたします。

 「沿線地域の皆さまに愛され、応援していただき、おかげさまで100 周年を迎えることができました。今後も皆さまにもっともっと愛される大雄山線を社員一同目指してまいりますので、引き続き、ご利用、ご声援をよろしくお願いいたします」

1996年まで親しまれた「赤電」。提供:伊豆箱根鉄道(株)
1996年まで親しまれた「赤電」。提供:伊豆箱根鉄道(株)
伍堂文康代表取締役社長(緑町駅のホームにて)
伍堂文康代表取締役社長(緑町駅のホームにて)
昭和30年代の大雄山駅提供:伊豆箱根鉄道(株)
昭和30年代の大雄山駅提供:伊豆箱根鉄道(株)
現在の小田原駅改札口
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