今年5月に台湾で開かれる展覧会に絵画作品「鷲にさらわれた赤ちゃん」を出品する 高橋 正雄さん 並木町在住 83歳
昔を伝え、今を描きとめる
○…昨年10月にインドネシアで行われた日本ASEAN交流40周年公式イベント「バリ芸術の力展」に出品し、「バリ芸術文化友好勲章」を受賞した。今年の5月には台湾での展覧会に、日本の昔話を描いた「鷲にさらわれた赤ちゃん」を出品することが決まっている。これまで絵具やクレヨンなどを使い、印象的な作品を造り出してきた。
○…幼少期を満州で過ごし、小学6年生のときに祖父母のいる秦野へ来た。秦野で出会った文化人との交流は、思考や感性を刺激した。作家の山中恒さんは中学の後輩。生意気な態度を叱ろうと呼んだが、話が合い意気投合。親友になった。高校時代には美術の教師をしていた藤間清さんと出会う。小学校教師になり、結婚して妻・松子さんを描いたときのこと。「僕の作品を見た彼が指で少し手を加えただけで、絵の中の妻が美人に変わった」と芸術に触れた感動を語る。
○…一生の中で、2度目に妻を描いたのは、松子さんが亡くなった3年前。「もうこの顔を見ることもできないのか」と思い、様々な角度から何枚もスケッチをしたという。葬式の場でその絵を飾ると、周りには「無神経だ」と非難の声を浴びせる人たちもいた。しかし、妻への深い思いを理解し、評価してくれる人も確かにいた。
○…「僕は画家じゃないよ」。教師を辞めたあとは、文化堂印刷に入社。海外勤務や役員を経験後、印刷会社を立ち上げた。その中での大仕事は、八百半デパートの担当として印刷物を一手に引き受けたこと。毎日欠かさずFAXでやりとりをし、固い信頼関係を築いた。当時の会長和田カツさんの自伝の製作にも尽力した。退職後は、はだの日曜画家展の世話役などを務め、小学校で戦争体験の伝承をしたことも。「昔のことを語れる人も少なくなっていくから」。変化し続けていく世の中で、昔を伝え、今を描きとめる。その姿勢は人への慈愛に満ちている。
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田原ふるさと公園野菜直売研究所0463-84-1281/そば処東雲0463-84-1282 https://www.kankou-hadano.org/pointinformation/pointinformationguide/point_tawarafurusatokouen.html |
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