鶴巻温泉病院(秦野市鶴巻北・鈴木龍太院長)が同院野球部への入部を契機とした介護職の人材確保案を打ち出し、2022年度から本格的に取り組む。介護職不足の中、求職者増への新たな一手となるか注目される。
この取り組みを立案したのは、同院看護部介護科長で野球部の監督を務める小玉達也さん。働きながら野球が続けられる環境を売りにした企業があり、実際に求職者増の実績を挙げていることから市場調査を実施。大学野球部員は増加傾向だが、野球を続けられる環境が少ないことなどを鑑み、同院への導入を提案したという。
小玉さん自身も野球経験者。「社会人になっても野球を続けたい人は多い。そんな人の受け皿を作ると共に、野球をしながら働ける環境づくりをすることで、求職者の増加につながるのではないかと考えた」と話す。
昨今の介護職不足で介護福祉士養成施設等からの人材確保が難しくなっている今、この取り組みでは一般の高校・大学卒の野球部員等を主なターゲットにしており、学校訪問の際の感触は「手ごたえを感じている」と小玉さんは話す。
30年の全国出場めざす野球協会にも登録
野球部出身者は「体力も根性もある人が多く、介護の仕事に向いている。研修などを通して介護の仕事に触れてもらうことで、実際の現場を知り、仕事として続けてもらえれば」と小玉さん。同院の野球部員として活躍してもらう一方で、介護職員として働いてもらうため、3カ年計画で介護福祉士の資格取得をサポート。1年目は介護職員として院内の介護業務(身体介護など)に携わってもらうことで、介護の仕事内容を把握してもらい、2年目からは国家試験へ向けた対策を行っていく。
現在、小玉さんと介護人事採用担当の鈴木大輔さんの2人を中心に採用活動を展開中。今年4月からこの制度を活用した新入職員もおり、モデルケースとして支援を行いながら、2023年4月の本格的な採用に向けて動き出す。
また、同院の野球部についても今年から本格的に活動をスタート。軟式野球チームとして秦野市野球協会にも登録し、2022年度から野球大会やジャパンメディカルリーグに参戦する。
天皇賜杯や国民体育大会の出場をめざし、全日本野球連盟に登録をすると共に、8年後の2030年までに全日本野球連盟1部昇格、全国大会出場をめざすという。
現在のメンバーはマネージャー含めて36人。今は同好会の扱いだが、今後は新卒者等の採用に伴い部費を徴収しない企業チームとして成立させる予定で、「野球と介護を真剣に取り組み、生きる喜びを実現する。継続して野球と介護ができる環境の構築」がテーマ。新規部員は25〜30人を目標としている。
野球部活動としては週2〜3回の練習・試合を想定しており、近隣の野球場で平日午後7時頃から、土日祝日は日中に実施予定だ。
「まずは野球部として、そして人材確保の手段として実績を作っていかなければならない部分はあるが、実際に自分が介護福祉士として働いていて思うことは、介護の仕事は『人と人との結びつきが深い』仕事だということです。辛い部分ももちろんありますが、1つの幸せが99の辛さを超える。そんな誇りとやりがいのある仕事を、野球という好きなことをしながら続けていける職場環境をしっかり作りたい」と小玉さん。問い合わせは同院看護部人事室【電話】0463・69・1233へ。
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