「大山街道、大山みち写真展」で清川村長賞を受賞した 白澤 文子さん 村立清川幼稚園園長 60歳
小さな村の大きな家族
○…「応募とかそういうために撮ったものではなかったので恐縮でした」と第一声。村立清川幼稚園に20年以上続いている年長さんの伝統行事・大山登山。受賞した作品はその道中での思い出を切り取ったもの。子どもたちがたくましく歩く様子や山頂に着いた時のホッとしたような表情が印象的。先頭を行った園長ならではのアングルだ。しかし、本人も話すように応募も賞も副産物。子どもたちが山頂で見せた「やった」という表情こそが自身にとって最高の宝もの。
○…小さな村の大きな家族。この言葉に象徴されるように、園は保護者・子・職員という横の連帯を大切にしている。「子育てには苦しいときも、楽しいときもある。いつもみんなで手を取り合えることが大切」とにこやか。教室に飾られたあたたかさを演出する手芸作品は卒園児の保護者からの贈り物。全員参加のおゆうぎ会には職員OBも友情出演。たとえ園を離れてもそこで過ごした”家族”は心でつながっている。
○…「自然の中で子どもたちと関わりたい」。幼稚園教諭として就職の場はたくさんあった20歳の頃。自身が望んだのは清川村で、運よく募集があったという。以来ずっと清川幼稚園。8年前から園長を務めている。部屋中に響く大きな声と周囲を巻き込む明るさがトレードマーク。「しーちゃんなんて呼ぶ子もいる。あはははは」と笑い転げる。
○…この春、定年退職する。「4月になってもまた来ちゃったりして」と冗談を飛ばしながら語る40年分の思い出は、名前も場所も鮮明でどれも昨日のことのよう。自身にとって最後となる13名の卒園児を送り出したばかり。「感傷的になるかと思っていましたが、なんだかとても晴やか。それに3月31日まで園長。気も抜けませんよ」と、とっておきのしーちゃんスマイルで締めくくった。