男性シニアボランティア「あシボ」で車椅子整備に取り組む 三澤 保彦さん 愛川町中津在住 73歳
地域支えるエンジニア魂
○…「のべ点検台数は1200台を超えました」とにこやか。会が活動の柱として2009年度に立ち上げた車椅子整備チームのリーダー。発足までは町社協の協力のもとニーズを探る一方、勉強会を重ね体制を整えた。始めてみると町内にはパンクや動作不良など整備が必要な車椅子が想像以上に多いことが分かった。以来、4カ所の高齢者施設を定期的に訪問し清掃・整備を行っている。
○…1つの施設にある車椅子は平均すると50〜60台。それでも1回あたり整備できるのはメンバー5人が2時間がかりで12台程度だ。目視等で済ませるのではなく、整備は細部にわたるチェックを行い、きちんと時間をかけるあたりに技術者たちのプライドがのぞく。古くなったものにはスチームクリーナーでの汚れ除去から。「必要な方のために、いつもベストの状態にしておきたい」と、車椅子には全て番号を振って管理。データ化することで点検状態は誰が見ても分かるように工夫した。
○…その技は震災後石巻エリアでも活かされた。海水によるサビや部品への泥詰まりなど難しい状態のものも多かった。それでも軒下や駐車場、庭先など場所を借りブルーシートを敷いては地道に整備に回った。訪問はいつも泊りがけ。3年間で6回。活動は今年3月で一区切りとしたが、誰でも整備ができるようにと、50ページに及ぶ独自の整備マニュアルを残してきた。
○…幼い頃から機械好きで「家のラジオを勝手に分解しては親父にしかられた」という。現役時代は機械エンジニアで「設置して終わりではなく、覚えてもらうまでが仕事だった」。一時で終わらせない姿勢は、車椅子修理にも通じている。家では長年使って壊れた洗濯器を直し「残念がられた」と笑うが、その技はおもちゃドクターとしても地域の子どもたちに頼りにされている。登山に木彫りと趣味も多彩。低音に伸びる声が渋い、アクティブシニアだ。