第97回全国高校野球選手権大会に出場した 鎌倉 知也さん 愛川町角田出身 18歳
目の前を一歩一歩
○…身長170cm、体重75kg。決して大柄とは言えないが、バランス良く鍛えられた全身から放たれるキレのあるストレートを武器に、花咲徳栄高校野球部を夏の甲子園初のベスト8に導いた。昨夏は県大会初戦で敗退し悔し涙を流した。今年は「甲子園出場」ではなく「あくまで日本一」を目標に、目の前の一戦一戦に全力で向き合った。「気が付いたら県の決勝戦、甲子園、という感じ。ベスト8という形を残すことができ、今は『やりきった』という思い」。熱投を終えた瞳は爽やかに澄み渡る。
○…愛川町角田出身。小学生の頃から強肩を活かして田代スーパーマンのエースとして活躍。中学時代には愛甲リトルシニアのエースとして、国際大会の代表選手に選ばれたこともあった。埼玉県の花咲徳栄高校に進学後は同校の寮で野球漬けの毎日。肘の疲労骨折で、長期にわたって試合に出ることができない時期もあった。チームに貢献できない苦しい日々。それでも弱気にならないように自分を励まし続け、高校生活最後の夏にエースナンバーの背番号1を掴んだ。信じて先発のマウンドを託してくれた監督、厳しい練習をともに過ごした仲間たち…。「今までの恩返し」。真っ先に頭に浮かんだこの言葉を胸に、自慢のストレートは全国の強打者たちを次々と打ち取った。
○…高校卒業後は、埼玉県の平成国際大学への進学が決まっている。同大学の野球部は投手力が高く、ピッチャーを作るのが上手いことで知られる。プロへの憧れもあるが、今は大学野球で一層の研鑽を目指す。あくまで堅実に、目の前を一歩一歩、今の立ち位置をしっかり踏み固める。
○…寮生活で外出の機会が少ないため、休息は実家から持ってきた本や映画で楽しむ。「大学に進学すると自由な時間も増えるので、まずは外食してみたい。車が好きなのでドライブもしてみたい」。若さに似合わず夢もちょっぴり堅実だ。