三浦半島地震に備えを 市の耐震診断補助事業も申込み急増
東日本大震災を受け、市の耐震診断補助事業の申込み件数が急増しており、5月末時点で昨年の実績を超えた。一方で、三浦半島断層群を震源とする地震の発生確率が高まっていることを専門家が指摘。この地震では市内全域で震度7を観測するおそれがあり、市内の建築士団体では「自らの命を守るため耐震診断は急務」と実施を呼びかけている。
2カ月で昨年超え
横須賀市では、木造住宅の耐震診断・補強工事にかかる費用を助成する事業をそれぞれ96年・03年から行っている。
市建築指導課に寄せられる問合せは震災以降増えていて、助成制度の申込件数は53件(4月〜5月末)と、すでに昨年度申込件数の43件を大幅に上回っている。このうちすでに22件が診断を実施、さらに6件は工事の申込みに至っていて、市民の関心は高いといえる。
断層「危険な状態」
耐震診断申込み急増には、三浦半島断層群を震源とする地震への懸念も背景にありそうだ。
活動度が高いA級に分類される同断層群。このうち武山断層帯は、30年以内の地震発生確率が6〜11%と評価されており、全国の活断層の中でも三番目に確率が高い。三浦半島活断層調査会(茅野教幸会長)によると、これらの断層群には三方のプレートから圧力が加わっている。東日本大震災により、そのうち一方の力が開放されたため「地下では力のアンバランスが起きており、かなり危険な状態」と指摘。さらに、「発生の確率は高まっていると見るべき」と警鐘を鳴らす。
同断層群で地震が発生した場合、市内は最大震度7の揺れに見舞われる可能性がある。市では07年、この地震を含めた3つの地震で想定される市内の震度を示した「横須賀市震度マップ」を作成。市役所や行政センター等で配布しているほか、市危機管理課ホームページでも内容を確認できる。
また、09年にまとめられた県被害想定調査によれば、この地震が冬の平日午後6時に発生した場合、市内外で死者はおよそ4400人。揺れにより全壊する家屋は27万棟、半壊も28万棟と考えられており、交通機関やライフラインのマヒ、大規模な火災の発生も懸念される。
さらに想定を細かく見ていくと、死者のうち3300名は建物被害等が原因となっている。95年に起きた阪神・淡路大震災でも、死者の9割が建物や家具の下敷きになり亡くなった。耐震診断は、こうした被害を防ぐ第一歩ともいえる。
耐震化は「急務」
耐震診断・補強工事について、市から委託を受けている神奈川県建築士事務所
協会横須賀支部は「自らの命を守るために、住宅の耐震化は急務の課題」と、耐震診断実施を訴える。
市の助成制度の対象は、建築基準法施工令改正(1981年6月)より前に着工した3階建て以下の木造住宅。自己所有・自己居住が条件だ。このうち耐震診断では、費用10万円のうち6万5千円を市が助成。補強工事が必要とされた住宅には、100万円を限度に、工事・図面作成等の費用を2分の1助成する。1981年6月以降に着工した住宅に関しては、補助制度は今のところない。
助成制度についての問い合わせは、市建築指導課【電話】046(822)8319まで。
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