鎌倉市は4月17日、新しいごみ焼却施設の建設候補地を山崎浄化センター(下水道終末処理場)内の未活用地とする考えを明らかにした。下水処理場と連携することで、ごみを焼却した際に発生するエネルギーの有効活用が図れ、災害時にも両施設の稼働が確保できる点など防災面を重視したという。市は2025年度内の稼働を目指し地元との調整に入りたい考えだが、「迷惑施設」が集中することに住民から反発の声が上がっている。
新ごみ焼却施設の建設候補地となったのは、大船、今泉、玉縄、植木などの下水を処理している山崎浄化センター内の未活用地(約8千平方メートル)。下水の処理量が増加し、施設の増設が必要になった場合などに備えて確保している土地という。
この場所を候補地とした理由について市は「災害時にエネルギーが有効活用できる」点をあげる。
近年のごみ焼却施設は、処理の際に発生した熱エネルギーを発電などに活用するタイプが主流。市は焼却施設を下水処理場と隣接させることで、平常時は焼却場で発生したエネルギーを下水処理場で利用できるうえ、災害が発生し電力供給がストップした場合でも、自家発電により両施設の稼働が確保できるとする。また災害時に「震災銭湯」として利用できる温浴施設なども併設する考えという。
この日記者会見した松尾崇市長は「災害時には地域の復興の一助を担うことができ、本市の安全・安心なまちづくりを進めるうえで極めて重要な施設になる」とした。
市は今後、地元への説明会や基本計画に対するパブリックコメントなどを経て設計に着手。2022年度には着工し、25年度内の稼働を目指す。
建設にかかる費用は約87億円を見込む。東京五輪を控えて資材や人件費が高騰していることもあり、2年前にごみ焼却施設の基本構想を策定した際の60億円に比べ大幅に上がっているという。
「負担の集中」地元は反発
候補地の地元、山崎西町内会は決定が明らかになった17日夜、緊急の役員会を開催し、建設に反対する意向を確認した。
昨年6月に候補地の一つとなっていることが判明して以降、反対署名などを行ってきたという同町内会。この日の役員会では「山崎にだけ迷惑施設が集中するのはおかしい」などの意見があがった。また浄化センターが建設された際、住民から「スポーツ施設の設置」などの要望が出されながら、いまだ実現していないことから「まずは市が約束を果たすべき」という声もあったという。
同町内会の檜山宏会長は「これまで下水処理場の負担を受け入れてきた山崎が候補地になっただけでショックだった。選定の理由を聞くと、事実上、山崎以外の選択肢はなかったのではと思わざるを得ない。市が負担の公平性をどのように考えているのか、選考の経過について説明を求めたい」と話した。
市は施設の安全性や防災拠点としての側面を訴えることで、地元の理解を得たい考えだが、住民との隔たりは大きいと言えそうだ。
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