緑区 教育
公開日:2026.07.23
津久井やまゆり園事件から10年 「仲間」として、共に生きる みどり支援学校 福田校長
本紙では、津久井やまゆり園事件から10年の節目を迎えるにあたり、県立みどり支援学校(東本郷)の福田裕志校長にインタビューを行った。主に知的障害のある児童生徒が通う同校。どのように過去の事件を受け止め、共生社会の実現に向けて歩んでいるかを聞いた。
――いきなり本題ですが10年前の事件をどのように記憶していますか。
「当時は県立総合教育センターで特別支援教育や教育相談に関わる仕事をしていました。障害がある人への理解が促進されていると感じていた矢先の出来事でしたので、まだこれだけの差別・偏見があるのだということを痛烈に思い知らされました。毎年、この時期になると心が痛みます」
――風化させないために今も大切にしていることはありますか。
「この時期になると毎年子どもたちにメッセージを伝えています。これまで県内各地の支援学校に校長として赴任してきましたが、一学期の終業式では『優しい心を持って、自分や周りの人を大切にしていこう』と伝えています」
互いに認め合える社会に
――福田校長が特別支援学級・学校の教育に携わるようになったのは、どんなきっかけですか。
「私立中学校・高等学校の社会科教員として働き始めたのですが、神奈川県で採用された最初の配置が養護学校(現在の特別支援学校)でした。働くうちにやりがいを感じるようになり、今に至ります」
――例えば、どんなときにやりがいを感じますか。
「一人ひとりのニーズにあった教育をして、子どもが何かできるようになったときです。本人や保護者と喜びを分かち合えたときの気持ちは忘れられません。他の教職員たちも同じ気持ちで働いていると思います」
――共生社会の実現に向けてどのようなことが大切だと思いますか。
「社会生活を送るうえで、自分なりのやり方であれば出来ることが、環境が整っていないために出来ない場面があります。社会全体で、合理的配慮の認識を持っていくことが大切だと思います。また、学校では、困ったときに周りの人に助けを求められる力を育てることを大切にしています」
――互いに理解を深めることが重要ですね。
「ええ。もう一つ大切なことは、心理的な壁をなくすことです。『障害者』はひとくくりにされがちですが、一人ひとりに得意なことや好きなことがあり、やりがいを持って暮らしたいという志があります。同じ地域で暮らす仲間として捉えてもらえたら、その延長に共生社会への一歩があると考えています」
――学校としては今後どのようなことに取り組んでいきたいですか。
「学校内で閉じていては社会は変わらないので、地域に開いて学校や子どもたちのことを知ってもらう機会を増やすことが大事だと考えています。高等部の生徒は近隣の清掃活動や地域の公園の花壇整備をしています。また、学習支援ボランティアも積極的に受け付けています。あのような事件を二度と起こさないために、地域との関わりを増やし、同じ地域で暮らす仲間として互いに認め合えるような機会づくりに取り組んでいきたいです」
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