瀬谷区 コラム
公開日:2022.10.20
テングチョウ文:清水道夫(瀬谷環境ネット) 写真:中村多加夫(同)
瀬谷の生き物だより153
秋の瀬谷市民の森を散策すると様々な蝶を目にする。そんな中、頭部が突き出た少し変わった形の蝶を見ることがある。テングチョウである。突き出たものは、図鑑に当たると、口器の一部(下唇の髭)である毛の束で、これを天狗の鼻に見立てて名付けられたとのことである。
タテハ蝶科テングチョウ亜科に分類されるのは国内ではこの一種のみで、全国に分布、低山地の雑木林や市街地の公園などに生息するが、北海道や東北地方には多くない。翅を広げた大きさは5cm程で、翅は外縁が角ばっており、裏面が枯葉模様で地味だが表面は黒又は茶褐色に白と橙色の斑が目立つ。
成虫は花蜜や樹液の他、湿地などで吸水し、成虫のまま越冬する。早春に食草であるエノキの周りを飛び、雌はエノキの新葉に産卵する。幼虫は5月〜6月に羽化し、その後真夏は夏眠、秋に一時姿を見せ、越冬のため再び冬眠に入る。尚、冬でも暖かい日は活動することがある。
この季節、冬眠前のテングチョウとの出会いがあると嬉しいのだが。
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