瀬谷区 コラム
公開日:2023.07.20
タマムシ 文:山村卓也(瀬谷環境ネット)写真:中村多加夫(同)
瀬谷の生き物だより162
タマムシは、日本で一番美しい昆虫である。金属光沢のある緑色の翅(はね)に赤茶色の筋が2本入り、角度により虹のように七色に輝く。これは微細な構造の翅に、光が散乱、屈折して見える「構造色」のためで、死後も美麗さは保たれる。
「吉兆虫」とも呼ばれ、法隆寺の国宝「玉虫の厨子」は4500匹ものタマムシの翅で装飾されている。しかし「玉虫色」という言葉は、今はあまり良い意味では使われていない。
タマムシは正式には「ニホンタマムシ」という、タマムシ科ルリタマムシ属の4cmほどの甲虫。本州以南の日本中の雑木林にいるが数が減少し、少数の県で絶滅危惧種に指定されている。
オスは7月後半の猛暑の日に、食樹であるケヤキやエノキの樹冠を飛び回って、葉陰にいるメスを探す。7月から8月になると、メスはケヤキ、エノキ、コナラなどの広葉樹の割れ目や伐採木に産卵する。幼虫は樹木の内部を食べ進み、2〜3年後の6、7月に成虫となる。猛暑の昼日中にキラキラ輝いて飛翔するタマムシの姿を見れば、誰もがきっと元気をもらえる事だろう。
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