「自ら命を守る意識を」
近藤戸塚区長に聞く

水害対策を語る近藤区長

　世界的に大型台風やゲリラ豪雨が発生し、大きな被害が起きている。横浜市も９月５日、台風15号により戸塚区を含む市内各地に即時避難指示を発令した。本紙では近藤武戸塚区長に区の水害の対策、区民の避難行動・事前対策の方法などについて聞いた。

――今年も台風シーズンを迎えました。区民に呼びかけたいことは。

　「台風による大雨により、河川の氾濫をはじめ、マンホールや側溝から水が溢れ出す内水氾濫、土壌に雨水が浸透することによって崖地が崩れるなどの土砂災害が起きる可能性が考えられます。まずは、ハザードマップで自宅や学校、職場などの災害発生リスクの確認を。ハザードマップは洪水、内水、土砂災害の３種類がありますのでそれぞれ確認し、災害の危険性が高い区域に該当する場合には、どのタイミングでどのような避難行動を取るかあらかじめ決めておきましょう。

　適切な避難行動をとるにあたり、情報収集手段も事前に確認してください。テレビやラジオでの情報収集に加えて、市が配信する『防災情報Ｅメール』や市・区役所ホームページの防災情報、区役所公式Ⅹなどからも気象情報等を入手できます。さらには、内水氾濫への備えとして、今年３月から戸塚駅周辺のマンホールに水位計を設置し、下水道管内の水位をリアルタイムにウェブページ上で見ることができるようになっていますので、こちらもご活用ください。

　台風は進路や規模を、事前にある程度予測できるので、天気予報で台風の接近が見込まれる場合には、事前に避難行動計画を立てておくことが重要。市の提供する『マイ・タイムライン作成シート』を使えば、地域や家族構成に合わせた避難行動計画を簡単に立てられます。作成シートは、市ホームページ上や区役所で配布しているほか、アプリ『横浜市避難ナビ』でも作成できますので、避難行動計画を立てていただきたいと思います」

柏尾川は大丈夫？

――戸塚区で発生する恐れがある風水害は。

　「柏尾川をはじめとしてその他７つの２級河川などにおいて、多量の大雨が長時間継続して降った場合に洪水が発生する恐れがあります。マンホールや側溝などから水が溢れ出す内水氾濫の危険性も忘れてはいけません。

　また、区内には崖地が多く存在し、土壌に雨水が浸透することによって崖地が崩れるなどの土砂災害にも注意が必要です」

――風水害の際、在宅避難と避難場所への避難、どちらを選択すべきですか。

「風水害の際の避難情報は、５段階の『警戒レベル』を用いて発表します。災害が想定されている区域などでは、警戒レベル３で、避難に時間を要する人は避難の開始を、警戒レベル４で全員避難を開始してください。それ以外の区域でも周囲の状況に十分警戒して、必要に応じて避難行動をとってください。

　テレビやラジオ、市が配信する『防災情報Ｅメール』、市・区のホームページや戸塚区公式Ⅹなどで、避難情報を発信しますので、災害が発生する恐れがある地域にお住まいの方は必ず情報を確認してください。

　命を守るための行動として、在宅か避難場所へ行くかの判断は各自の状況により異なります。大雨が降っている中、自宅の外に出ることはかえって危険な場合もあります。災害が発生する恐れが無い地域にお住まいの場合は、自宅内の少しでも安全な場所へ移動を。

　洪水や内水氾濫による浸水が発生する恐れがある地域にお住まいの場合は、マンション等建物が頑丈であれば建物の２階以上に避難する『垂直避難』を、建物がぜい弱であれば、安全な場所にある親戚宅や避難場所に避難する『水平避難』をしてください。土砂災害の恐れがある地域にお住まいの場合は原則、『水平避難』します」

――区民に用意・準備して欲しいものは。

　「避難場所における物資・食料は、避難者の方々に持参していただくことを原則としています。避難することを最優先に、可能な限り持参してください。

　日頃から非常時の持ち出し品を準備し、リュックサックなどの両手があくものに収め、すぐに持ち出せるようにしてください。持ち出し品は救急・安全用品や貴重品、水・飲料、日用品、衣類等が考えられますが、できるだけ少なくし、家族構成を踏まえて必要なものを準備しておいてください」

――区民にメッセージをお願いします。

　「近年台風などによる大雨・暴風による被害が全国各地で甚大化しています。戸塚区役所としても、今年度は風水害時の避難場所の環境の改善に取り組むなど、いざというときへの備えを進めています。区民の皆さまも一人ひとりが『自らの命は自ら守る』意識を持っていただき、日頃から備えをするようにお願いいたします」