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戸塚区・泉区 社会

公開日:2025.09.18

「地震への備え一緒に」
山口泉区長に聞く

  • 地域防災拠点の重要性を語る山口区長

 関東地方在住者にとって自然災害で「9月」と聞いて頭に浮かぶ最たるものの一つは、1世紀以上が経過してもなお関東大震災だろう。南海トラフ地震などの発生も危ぶまれる現況を踏まえ、本紙では山口賢泉区長に区の地震対策、地域防災拠点の役割などについて聞いた。

住宅密集地の延焼火災

――泉区は住宅地が多い特性があります。それを踏まえ、大地震が発生した場合、区で起こりうる被害をどう想定されていますか。

 「泉区には住宅密集地があり、特に中田地区としらゆり地区は、市内でも延焼火災の危険性が高い対策地域として指定されています。大地震が発生した場合には、6件の炎上出火から約3000棟が焼失する試算もあります。当該地域には狭い道路も多く、緊急車両が進入しにくいことも延焼拡大につながるとされています」

――その被害を最小限にとどめるための区、市の対策を教えてください。

 「さまざまな取組みを行っていますが、まずは火災を発生させないことが重要です。特に地震発生時に注意が必要なのが、停電から電気が復旧した時の通電火災です。こうした火災を防ぐためには、大きな揺れを感知してブレーカーを自動的に落とす『感震ブレーカー』などの機器が有効です。

 こういった対策方法を多くの人が知り、実践することで、火災の発生・延焼拡大を防止し地域全体の防災力を高めることにもつながります。市では、各家庭での感震ブレーカーの設置に係る補助制度を用意していますので、ぜひご活用ください」

地域防災拠点の同時訓練

――地域防災拠点で行われる避難訓練への区民の参加状況は。

 「泉区には発災時にみなさんが避難する地域防災拠点が22あり、各拠点で地震発生時を想定したさまざまな訓練を実施しています。発災時の地域防災拠点の運営や流れを事前に体験することで、災害時にどのような行動をすればよいかを具体的にイメージできるようになりますので、より多くの区民のみなさんに訓練に参加して頂きたいですね。

 また、発災時には区内全ての地域防災拠点が開設され、区役所は各地域防災拠点との円滑な連携が求められることから、各地域防災拠点と泉区災害対策本部(区役所)と同時に連携した『泉区地域防災拠点同時訓練』を今年度も実施します。少しでも地震発生時に近い状況をつくり、その中での対応方法を確認することで、泉区全体の災害対応力の向上を図っていきます」

顔の見える関係づくりを

――泉区が力を入れる地震対策は。

 「『自助』、『共助』、『公助』を有機的につなげ、『災害につよいまち泉区』を実現するため、さまざまな取組を進めています。

 まず『自助』ですが、一人ひとりの地震への備えが何よりも重要。その促進のため、親子で防災を学べるイベント開催や、気軽に学べる防災動画やパンフレットの区役所ウェブサイトでの公開などにより、区民のみなさんの意識醸成に努めています。

 『共助』は、地域のみなさんの助け合いによって『自助』で不足する部分を補えます。防災の専門知識を有する防災アドバイザーを自治会などのみなさまの要望に応じて派遣するなどの支援をしています。

 『公助』は、安心して避難所での生活が過ごせるよう、例えば、プライバシー確保のためのパーテーションやテント、3食3日分の備蓄食料など各地域防災拠点で必要となる物資を確保しています。同時に、各地域防災拠点向けの研修などで、その運営を支援しています。また、実際に発災した際には、各地域防災拠点と連携し、不足する物資を方面別備蓄庫から手配を調整したりなどします」

――区民に災害対策(特に地震)でお願いしたいこと、備えてほしいことを、お伝えください。

 「一人ひとりの備えがとても重要です。最低3日分の食料や飲料水、簡易トイレ等の備蓄がご自宅に揃っているかを、今一度ご確認ください。特に、家族構成に応じた備え(乳幼児用品や持病のある方の薬など)は大切です。また、発災時にご家族の安否をどのように確認するか、連絡手段や集合場所などについても、事前に話し合っていただきたいですね。

 地域防災拠点は自治会の皆さんが中心となって運営しており、地域での顔の見える関係づくりはいざという時の共助の力につながります。防災に限らず地域活動に、そして各地域防災拠点や自治会では、日頃から発災時を想定した訓練を行っていますので、ぜひ参加を」

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