戸塚区・泉区 社会
公開日:2026.05.29
競技かるた ハンデ乗り越えA級に 泉区・南部さん 会を設立
静寂とした空間の中で一音に神経を澄まし、札に一直線――。競技かるたの世界で、最高峰のA級に所属する泉区新橋町在住の南部大成さん(29)=人物風土記に登場。全国でも珍しい、障害者手帳を持ったA級選手だ。
幼少期から文字が歪んだり、ただの線に見えていたという南部さん。学校での音読や漢字の書き取りなど、苦手意識が強まっていく日々だった。小学4年生で出会った百人一首は、文字への強いコンプレックスを払拭する契機に。初めて取った札は「きりぎりす 鳴くや霜夜の さむしろに 衣かたしき ひとりかも寝む」。頭の単語を覚えて取ったという。
高校ではかるた部に入部。練習を積み重ね、3年の春にA級に昇格。全国大会に出場し、自身が部長を務めた最後の団体戦では創部史上初の全国大会ベスト8を経験した。「文字の分野で遅れを取っていた自分が、”普通”と呼ばれる人たちと同じフィールドで対等に渡り合い、勝てたことが何より嬉しかった」と頬をゆるめる。
自分らしさで勝つ
しかし、A級の世界は甘くない。南部さんには、周囲の雑音や換気扇の音がすべて同音量で聞こえてしまう「聴覚過敏」や光により文字が見えづらくなる「アーレン症候群」などの特性もある。試合中のノイズや光による見えにくさと戦うため、大学時代に、耳栓と光をカットする特殊なサングラスを付け試合に臨むという独自のスタイルを確立した。音が届くのが一瞬遅れるハンデを背負いながらも、相手の動きに惑わされず、音が確定するまで見極めてから鋭く踏み込む。「大会にでると対戦選手に驚かれることも」と話す。
今年4月から、特性の有無関係なく、かるたを楽しめる場をつくりたいと「万騎が原かるた会」の立ち上げに奮闘中。競技かるたの楽しさをよりさまざまな人へ広めていきたいと熱く意気込む。
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