「1日1万歩を歩く」は広く知られている健康法だが、「毎日欠かさず続けること」は難しい。金沢区東朝比奈に住む丹澤芳明さん(69)は数度の挫折を得て、2012年11月20日から1日1万歩を続けている。
きっかけは天台宗大阿闍梨の故酒井雄哉さんの生涯に感動したこと。酒井さんは7年かけて4万㌔を走破し、9日間の不眠・断食・断水などがある比叡山の「千日回峰行」という荒行を2度、達成した人。丹澤さんは「自分なりの千日回峰行として、1日1万歩以上を歩こうと思った」と振り返る。
しかし続けることは、想像以上に難しかった。歩けなくなるような病気やケガは40年以上、1度もないというが、当時は現役の校長職。仕事や旅行、そして東日本大震災など、どうしても歩く時間が作れずに断念した。
そして4度目の挑戦となる今回は、退職直前からのスタートとなり、18年5月に2千日を達成。3千日目となる今年2月5日は目前だ。「ここまで続くとは思わなかった」と感慨深げだ。
ガイドで歩数稼ぐ
続いた最大の理由は退職してから鎌倉ガイド協会に入ったことだ。下見や調査、ガイド当日など、自然と歩く機会が増えた。「ガイドする人を笑わせたりして一緒に歩くのは、性にあっているんです」とにっこり。そのほか、「旅行の時は朝早めに起きて歩く」「雨の日はカッパを着て歩いたり、デパートに行って歩く」「日常生活で車はほとんど使わない」などの工夫で、1万歩を達成してきた。「1千日までが大変だった。今では体が万歩計になっていて、だいたい何歩あるいたか分かる」
コロナ禍で危機に
だが昨年のコロナ禍でガイド活動は停止に。不要不急の外出自粛が叫ばれる中、歩く機会を作るのは難しいと思われた。
「そこで、思いついたのが銭湯通いです」。もともと、家の風呂に入らず銭湯やサウナに通っていた丹澤さん。六浦の「亀遊館」や追浜東の「ニュー松の湯」、弘明寺の「みうらの湯」などに歩いて通うように。また、時間があれば鎌倉まで歩き、古道散策を楽しんだ。
スマートフォンの歩数を見せてもらうと、昨年1年の1日平均歩数は1万5千歩程度。また、トレーニング表を作り、腕立て30回、腹筋50回、踏み台10分などのメニューを立て、できた日に丸を付けている。体重も校長時代から10kg減り、20代と同じになったという。
「3千日回峰行」達成まで、残すは1カ月と少し。「いつもどおり、気持ちよく歩き続けるだけです」と話した。
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