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中区・西区・南区 人物風土記

公開日:2022.04.07

Art Gallery山手で4月14日から19日まで藍染展を開く
桜井 靖子さん
中区石川町在住 77歳

藍の良さに魅せられて

 ○…藍染めを始めて約40年。デザイン、型紙彫り、染めまで一貫して手掛け、小港町の古民家風の工房で制作に励む。作業場は裏の「物置みたいなところ」。4畳ほどのスペースで、長い時は1日5時間、染料を建(た)てる時期は毎日朝昼晩、かき混ぜる。手が痺れ、整形外科に通う日々。「娘たちにも『もう落ち着いたら』と止められるけど、何かやっていないと落ち着かなくてね」と笑う。

 ○…こだわりは、染料や素材に化学薬品を使わない「天然の藍染め」。元々、化学染料を使ったピンクや赤の派手な染物も手掛けてきたが、ある時、西日が当たるレストランに飾られていた自身の作品が変色した。「せっかく作った作品がグレー色になってしまってとてもショックだった」。以来、徳島県の藍製造技術無形文化財保持者がつくる染料「すくも(天然藍の原料)」を使用し、灰汁(あく)を使って染料を建て、天然繊維の生地を染める藍の道へ。「藍は退色はあっても変色はない。環境にも身体にもやさしいのよ」とやさしくほほ笑む。

 ○…病気がちの幼少期、読書や絵を描くことが好きだった。中学・高校は美術部に所属。多摩美術大学に進学し、染色科を卒業した。「グラフィックに行こうと思ったけど、周りの子たちが凄くて圧倒されちゃって染色科に。動機は不純なの」とお茶目に話す。娘3人の子育てが一段落してから、各地で個展を開催し、アトリエを持つなど、活動を続けてきた。

 ○…山手町のアートギャラリーで4月14日から個展を開催。加えて工房では週末に少人数の教室を開くなど、忙しい日々を送る。「大変だけど、日本の伝統技術を若い方にも知ってもらえるきっかけになるのであればうれしい」。藍染めの魅力を次世代へつなぐ。

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