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南区 人物風土記

公開日:2008.01.01

落語家 横浜愛す 下町育ちの頑固者
桂 歌丸さん
真金町在住 71歳


 ○…落語家にとって正月は一番忙しい時期。元日はテレビの12時間番組「大笑点」に出演する合間を縫って寄席を飛び回る。「忙しいから1月は嫌い」と笑う。若い女性が寄席に通うなど、“落語ブーム”と言われる昨今。「こればかりは本当に分からないね」と言いつつも「テレビの薄っぺらな笑いに飽きちゃったのかも」と。同時に「笑点が落語の入り口になっているのでは」と自負する。



 ○…勉強嫌いでラジオの演芸放送をかじりつくように聴いていた少年は、小学4年生で噺家になる決心を固める。「学校の勉強は頭に入らなかった」。中学3年で五代目古今亭今輔に弟子入り。二つ目時代、寄席への出番の少なさから師匠の下を飛び出したり、内容に不満を感じて笑点を降板した過去もある。「噺家はみんな頑固で強情だから」。4年前からは落語芸術協会の会長に就任。「会長は意見を出さず、みんなの声を聞かなくてはいけない」と個性派揃いの面々をまとめる。



 ○…真金町の遊郭で生まれ育った。「隣の家の味噌やしょうゆの場所が分かる」ほどの付き合いが今でも残る下町だ。市民に対しては、「住んだ以上は横浜を愛し、ハマっ子になってほしい」と強く願う。地元、横浜への恩返しの意味を込め、存亡の危機にあった南区・三吉演芸場を支援し、中区の横浜にぎわい座の設立にも奔走した。



 ○…「何でも集めるのが好き」と化石や魚、鳥にも関心を持つが、妻・富士子さんからは「お父さんの趣味は一文にもならない」と苦言を呈されることも。「カミさんには頭が上がらない。私はただのお金の運び屋ですから。運び屋って言っても今は振り込みだけど」。最近では芸に円熟味が増したと評価されるが「まだ五合目ぐらい。自分の道を進むだけ」と力強く語る。「ねずみ年は十二支の始まり。スタートラインに立ったと思って頑張っていきたい」。今日も高座で客と、そして落語と真剣勝負する。

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