生活保護受給者の更生施設で睦町1丁目にある「民衆館」が創立90年を迎え、11月22日、23日に記念祭が開かれた。市内で最も古い更生施設で、多様化する生活保護受給者の状況に合わせたプログラムを行う。最近はボランティア活動に力を入れるなど、地域に溶け込みながら、自立支援を続けている。
民衆館は社会福祉法人横浜愛隣会が運営する。1924年12月、失業者や生活困窮者が利用する簡易宿泊所として浦舟町に作られたのが始まり。数回の移転を経て、53年、県の委託で宿泊所を現在の場所に作った。84年から精神的、身体的な障害があったり、高齢の生活保護受給者の自立を支援する更生施設となった。更生施設は生活保護法に基づく社会福祉施設で、市内には民衆館を含めて3カ所ある。
現在は約60人の男性が施設内で集団生活を送る。同施設によると、入所者の3分の1が精神障害者。ほかには、アルコールやギャンブル依存症の人も多い。平均年齢は49歳。江森幸久館長は「最近はコミュニケーションを取ることや社会参加が苦手な若い人の入所が多くなった」という。
入所者は午前中に公園清掃などを行い、午後はカウンセリングやミーティングなど、状況に応じたプログラムを受ける。1年間で生活のリズムを取り戻すことを目標にしており、平均入所期間は2年間。自立した生活を送れるよう、退所後も相談などに応じている。2003年からは、地域から通ってくる生活保護受給者への支援も行う。
地域で奉仕活動
09年から睦地域ケアプラザにボランティア登録し、地域から依頼された草むしりや庭木の手入れをしている。13年度は延べ約1200人がボランティア活動に参加。江森館長は「入所者が他者から感謝される喜びを感じられることは、自立意識の高まりにもつながる」という。ほかにも、施設が堀ノ内睦町地区の町内会行事の会場になるなど、地域との連携を深めている。
90周年記念祭では入所者が作った豚汁などが販売された。生活保護受給者の相談を受けている南区民生委員児童委員協議会のメンバーも参加。大竹多喜男会長は「民衆館の方々は、地域活動もされており、大切な施設」という。
江森館長は「保護に至る手前の支援も必要」と話し、15年4月に生活困窮者自立支援法が施行されるのを前に、今後、「ほかの支援施設とのネットワーク作りを意識したい」としている。
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