保土ケ谷区 コラム
公開日:2026.05.28
日蓮宗樹源寺 権住職 日比(ヒビ)宣仁(センジン) 連載61 法話箋 ~鹿苑~ 「諸行無常」
『涅槃経(ねはんぎょう)』に説かれる「諸行無常(しょぎょうむじょう)」は『広辞苑』で、「万物は常に変化して少しの間もとどまらないということ」と説明され、日常語として知られています。但し、これは悟りを示した言葉ではありません。仏教は世の中を、色々なことを考えながら生活する様々な人々(ひとびと)の精神的、肉体的活動が結果してできたもの、と見ます。私たちは普段、「仕事を頑張ろう」と思った直後には「お腹が空いた」などと考え、心の状態は無常です。世界中の人が同時に、揺れ動く海面の如き不一定な心の作用を呈し、それが集積して世間が形成されます。つまり、「諸行無常(しょぎょうむじょう)」は世間の有様(ありさま)を指す言葉なのです。では、悟りとは何かというに、諸行無常なるこの世間の根底に横たわっている「お陰様(かげさま)」という理(ことわり)です。私たちは様々な思考を巡らし、活動していますが、それ以前に先祖や親、周囲の人々のお陰で生かされていると理解することが悟りなのです。この境地を『涅槃経(ねはんぎょう)』では「寂滅為楽(じゃくめついらく)」と説きます。
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