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鶴見区 人物風土記

公開日:2026.05.21

「鶴見の田祭り」で20年にわたり「稲人頭」を務めてきた 辻 積さん 生麦在住 81歳

  • 辻 積さん (写真1)

伝統をつなぐ笑顔の稲人頭

 ○…横浜市の地域無形民俗文化財に指定されている「鶴見の田祭り」。鶴見神社で五穀豊穣を祈る伝統行事だ。その舞台で、作大将らとともに田植えの指揮を執る「稲人(いなんど)頭(がしら)」を20年以上にわたり務めている。「膨大な台詞と所作を覚えるのに必死。でも、周りの仲間が支えてくれるからね」。本番前は今でも緊張するというが、無事に神事を終えた後の安堵と、地域が一体となる充実感は何物にも代えがたい。

 ○…1987年に田祭りが再興され、長年初代の稲人頭を務めていた叔父からバトンを託された。「最初は右も左も分からなかった」と苦笑する。歴史ある所作を体得するため、自宅での猛特訓のほか、仲間とも毎年稽古を重ねる。「間違えたっていい。みんなで和気あいあいと楽しくやるのが一番」。その朗らかな人柄が、20年の長きにわたり伝統の灯を守り続けてきた原動力だ。

 ○…戦後に母の実家の生麦へ。両親は甘納豆屋を営み、継いだ。隣近所のつながりの強い環境で育ち、地域への愛着は人一倍強い。「頼まれると断れない性分でね」と笑う通り、今も生麦事件参考館で器用さを活かして設備修繕をボランティアで請け負うなど、多方面で地域を支える。「見よう見まねで何でも直す」という手先の器用さとフットワークの軽さで、周囲から大いに頼りにされる存在だ。

 ○…「念じれば夢は叶う」。母親から教わった言葉を胸に、何事にも全力で向き合ってきた。来年で田祭りの再興から40年の節目を迎える。「そろそろ若い世代に役目を譲り、今度は自分が裏方として支えたい」と先を見据える。「今まで生かしてもらった地域への恩返しですよ」。愛する生麦、そして鶴見のまちに、これからも柔和な笑顔で恩を返していく。

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