川崎市の市営住宅の高齢化率が増加する中、エレベーターの設置の重要性も増している。市は建物の構造上設置が難しいとされていた区内の高山住宅をモデル指定し、このほど「前例を聞いたことがない」というベランダ側(南側)に外廊下型エレベーターを設置。住民の満足度などを諮った上で、良好であれば工法のひとつとして採用していく考えだ。
高齢化に対応
2016年の川崎市の市営住宅の65歳以上の入居者は、14670人で全入居者の48・4%を占め、10年時点の38・7%から9・7%増加と、高齢化が進行している。また全市の65歳以上の人口が18・9%(14年時点)ということからも、市営住宅での高齢者比率の高さがうかがえる。
そうした現状とともに、エレベーターの設置の重要性も増してきた。
16年4月1日現在、市営住宅全体で127棟に162基のエレベーターを設置。戸数ベースでは51・8%の住戸に対して設置済みだ。区によって設置率に差があり、川崎区が83・3%で最も高く、以下多摩区77・5%、幸区65・5%、高津区56・3%、中原区45・7%、麻生区28・8%で、宮前区は最も低く18・1%。宮前区は全17573戸中、4521戸と最も市営住宅が多く、さらにその約7割が40年超経過している物件。60年代から70年代に建設された公営住宅の多くが決められた型による設計に基づく中層階段室型共同住宅で、ほとんどの住宅にエレベーターが設置されていないという。
そんな中、今回市は宮前区内の高山住宅17号棟をモデル指定。設置するエレベーターは、市も「前例がないのでは」という南側ベランダへの外廊下型とした。同棟は一般的な玄関側にエレベーターを設置しようとすると、建築基準法に抵触してしまうため、これまで設置困難とされてきた。しかし検討を重ねた結果、ベランダ側に設置する方法があることがわかり、実施に踏み切った。エレベーターに繋がる外廊下を設けてベランダから出入りをする。居住者が生活しながら工事が完了できるというメリットもあり、各自治体等からも注目されているという。
市では、今後居住者の意見を聴きながら良好であれば他の同様の住宅への採用も考えていく。
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