相模原市は11月28日、市をPRする「相模原市シティプロモーションブック別冊」の配布を開始した。冊子には市による「若い世代に手に取ってほしい」という思いが込められている。背景には、少子化対策がある。
動画やSNSでも
冊子は、市内出身モデルの冨永愛さんを表紙に起用。10月11日に杜のホールはしもとで開催した市シティプロモーションイベント「さがみはら愛 『子育て応援フォーラム』」の様子が収録されている。A4判見開きサイズで5000部を発行する。市のホームページではイベントの様子などをユーチューブでも11月25日から来年3月31日まで配信している。数年前からSNSでの広告にも力を入れているという。従来型の行政の発行物とは異なったアプローチで子育て世代へ訴求していく。
ピーク過ぎたはずが
国勢調査の結果に基づき、相模原市が2013年に発表した人口推計では「総人口のピークは2019年」とある。しかし、今年11月の時点で増加を続けている。市によると、テレワーク需要増加で都心に通える範囲内の都市への転入が増えており、市内への移住の相談も増えているという。
2021年度の総務省の「住民基本台帳人口移動報告」によると「転入超過の多い市町村」で相模原市は10位にランクイン。さらに、「前年に比べて超過数が拡大」しているという。特に市が注目しているのが子育て世代の人口だ。「市の特徴として、子育て世代にあたる20代から30代の転入と転出が共に多い」(市観光・シティプロモーション課)。転入が超過しているとはいえ、転出も少なくない。いかに転入を増やし、転出を抑えるかがカギとなる。
前述の総務省のデータでは「15歳〜64歳」の区分で相模原市は12位。この区分は生産人口ともいえる年齢に該当する。少子化対策は市でも重点施策に位置付けられており「子育て世代に住む場所として選んでもらえる街にしたい」と市担当者。「さらに、今住んでいる人が産み育てやすい街」を目指し、シビックプライドの醸成につなげたい考えだ。
かつては「こども急増びんぼう」の時代も
かつて相模原市でも人口急増を迎えた時代があった。1975年には、人口に対し財政が足りず、学校などのインフラ整備が追い付かないことを象徴する「こども急増びんぼう白書」とサブタイトルのついた市の財政白書が刊行されている。そういった時代に比べると、現在は空き教室が発生するなど、学校が余っている状態。当時とは異なり、たとえ子どもが増えても、追加投資は少なくて済むという側面がある。一方で、子育て世帯の人口は労働人口にも直結する。税収確保によってサービス水準の維持が可能になるという財政的な利点もある。
子ども時代から相模原で
「子どもの頃の思い出は大人になっても残っているはず。子ども時代を市で過ごすことで街に愛着を持ち、たとえ一時的に市を離れても、将来的に暮らす場所として相模原市が選択肢になれれば」。そのためには今、子育て世代に住んでもらう必要があり、その層へ向けたプロモーションが必要になる。
一方で、合計特殊出生率は首都圏の他の指定都市や神奈川県よりも低いという課題も。「産むかどうか迷っているときに背中を押してあげられるようになりたい。安心して産める、そんな街を目指したい」
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