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公開日:2025.07.24

「森村誠一」朗読で次世代へ
市民参加型で 今夏始動

  • チラシをもつ中村さん(右)と山口さん

 町田市ゆかりの作家で、名誉市民でもある故・森村誠一氏の作品を、市民の朗読によってデジタル継承する新たな文化プロジェクト「朗読の証明」が今夏、始動する。実行委員会代表を務める中村廣幸さんは「森村先生の過ごした街の文化遺産として継承していきたい」と語る。

 プロジェクトは、正式な著作権許諾のもと、森村作品の朗読を市民とともに行い、その音声を記録・編集してYouTubeで全国へ配信するというもの。文学作品を「声」で残し、広く発信していくことを通じて、デジタル時代における新しい文学継承の形を模索する取り組みだ。

 プロジェクト誕生のきっかけは、2024年秋に町田市民文学館ことばらんどで開催された森村氏の展覧会。会場では、市内で活動する朗読愛好団体・朗読劇かわせみ座による朗読公演が行われ、来場者から「自分たちでも読んでみたい」「声で作品に触れてみたい」といった声が数多く寄せられたことだったという。市民からわき上がった声を受け、企画が具体化。朗読を通じて作品の魅力を再発見し、記録として残すことで、町田から全国へ森村作品を広げていく計画という。

 朗読指導を担当するのは、テレビやアニメなどで活躍するナレーター・声優の磯部弘氏。文学作品の朗読にも豊富な経験を持ち、参加者一人ひとりの個性を引き出す指導を行う予定だ。朗読経験の有無は問わず、誰でも参加できる点も特徴となっている。

 実行委員会の代表を務めるのは、森村氏のウエブサイトを長年にわたって管理してきた中村さん。取材や講演依頼の対応など、私設秘書のような立場で20年以上、森村氏を支え続けてきた。「森村先生の作品は長編で300本以上、短編は450以上にのぼる。これだけの作品があるのに新作が出ないと作家は忘れられてしまう。町田で生まれたこの作品群を、地元の力で継承していく意義は大きい」と語る。

 共催団体の一つである朗読劇かわせみ座の代表・山口敏男さんも、朗読の奥深さに魅了された一人だ。「読むだけではない、声に出して初めて分かる文学の表情がある。図書館の棚にしまっておくだけではなく、文化として生きた形で継いでいきたい」と意気込みを語る。

来月説明会

 プロジェクトの趣旨や活動内容を紹介する初回イベント「朗読の証明プロジェクト説明会&体験ワークショップ」が、8月27日(水)午後7時から、ことばらんどで開かれる。説明会では、プロジェクトの全体像や今後のワークショップの展開、YouTube配信までの流れなどを紹介するほか、森村作品の朗読デモンストレーションも実施される予定。中村さんは「朗読が好きな人、森村ファンの人、どんな人にも気軽に体験していただきたい」と呼びかける。

 参加費は無料で定員は先着50名。申込みは8月22日(金)まで公式サイトで受け付けている。問合せは実行委員会【電話】042・738・2027へ。

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