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公開日:2019.06.13

宇宙に八王子の技術
市内企業 通信機器開発

  • アドニクスが手掛けた、衛星に搭載する無線通信機

  • オフィスで同社の製品を持つ、小島社長

 きょう6月13日は、2010年に小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」までの7年間の旅を終え、地球への帰還に成功した日であることから「はやぶさの日」とされている。八王子にもその「はやぶさ」に関わる企業がある。台町にあるベンチャー企業、株式会社アドニクス(小島要社長・60)は14年、「はやぶさ2」に搭載した無線通信機の開発を手掛けた。記念日を機に、同社の取り組みなどを小島社長に聞いた。

きょう「はやぶさ」の日

 宇宙で何が起こっているのか?その彼方での出来事について、地球にいる我々は直に確認ができない。その事実は衛星から送られてくる画像や動画で知ることができる。同社はその通信のための、人工衛星の「耳(受信)と口(発信)」と言われる機器を20年以上にわたり開発し続けている。

アナログ技術を駆使

 小島社長と3人のスタッフにより1998年に創業した。高周波による無線通信の分野に特化。技術者が減っているという「アナログ」の技術を駆使し、微弱な電波を取り扱う機器を手掛けている。はやぶさ2に搭載した探査ローバ「ミネルバ2」をはじめ、これまで合計23機の人工衛星に同社の製品が採用されている。なお、機器のサイズは8cm×8cmのものが多く、これは「八王子」(8)、「発」(8)と小島社長が考えた。

 「宇宙は『空気がない』『重力がない』『放射線がある』ところ。その環境を社内で再現し、機器がきちんと稼働するかを繰り返しテストする。『絶対はない』ので、限りなく(自分の)安心に近づくまで」と小島社長はその苦労を話す。

 一方、小島社長が35年前に教わったその技術は、進歩はしているが今も基本的には変わっていないそう。例えば、はやぶさ2の通信方式は50年前と同じ。「変えることができない。それが一番いいから」

きっかけはアポロ

 同社は八王子商工会議所工業部会にある「次世代工業研究会(次工研)」の一社。よく知る人は小島社長について「次工研では役員など重責を複数担われており、とても責任感が強く人望があります」と話す。

 その小島社長が宇宙へ関心を持つようになったのは10歳の時、アポロ11号の月面着陸のニュース(1969年)がきっかけ。その後、アマチュア無線に興味を持ち、その仕事に就きたいと専門学校で電子工学を学んだ。中堅電機会社などに勤務したのち、夢を追い起業。現在、人工衛星のプロジェクトにおいて携わっているのはほんのごく一部だそうだが「画像を見たとき、(自社の技術が活きていることを)実感します」と笑顔を見せる。

 今後については「宇宙に関わる仕事を長くやりたい」。その分野の研究に貢献し技術者であり続けることを強く願っている。

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