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大和 人物風土記

公開日:2014.01.31

大和美術協会の会長に就任した
吉田 光男さん
上草柳在住 79歳

芸術で豊かな心を

 ○…大和市に芸術文化を根付かせるため、2000年に会員11人で発足した大和美術協会。「大和展」「大美展」「美術講演会」の開催を3本柱に、広く市民に美術とふれあう機会を作り出している。今年に入り8人が新たに入会し、現在の会員は40人。その舵取り役にこのほど就任した。「入門教室などを開いて、絵を描く人を増やしていくことが今後の目標。心の豊かな市にしていくため、少しでも貢献できれば」と微笑む。

 ○…東京・高輪の生まれ。小学5年生で栃木県の塩原温泉に疎開した。疎開先では食べ物がなく、栄養失調になる友人もいたという。6年生で終戦を迎えた時、体重はわずか20kg。「あと半年、戦争が続いていたらこの世にいなかったかも」と苦笑を浮かべる。昨年には疎開先でお世話になった寮母さんを招き、同窓会も開いたそうだ。「今だからこそ笑顔で振り返れますが、当時は本当につらかった。夢を持てる時代ではなかったですね」

 ○…大学卒業後は自動車メーカーに就職。設計、企画、開発など様々な分野に携わった。早朝に家を出て、深夜に帰宅する日々。アメリカやヨーロッパへも視察のため、何度も足を運んだそうだ。ゴルフ場で使用する乗用カートの開発のため、始めざるを得なかったゴルフが唯一の趣味だったという。「家庭のことは全て家内にまかせっきり。典型的な仕事人間でした」と苦笑い。

 ○…定年後は仕事に向けていた力を趣味に傾け、鎌倉彫、社交ダンス、ウクレレ、絵画などに次々と挑戦。「設計が長かった分、どうしても写実的な絵しか描けなくて」と笑う。ただ、絵を描くようになってからは、以前は見過ごしていた花の美しさ、風景などに目を留められるようになったという。「現代は、物は豊かかも知れない。しかし心の豊かさは見過ごされている気がします。生活に潤いを与えるためにも、芸術にふれあう機会を広げていきたいですね」

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