不動産事業者の(株)プライム(石塚惠社長=写真、座間市相模が丘)が12日、国土交通省の「第2回 地域価値を共創する不動産業アワード」の一般部門で優秀賞を受賞した。同社のモットーは「絶対に見捨てない」─。
この表彰制度は、行政や住民、他業種の関係者らと協力して地域づくりに取り組む不動産業者を国が表彰するもので、2022年度に新設された。2回目の今回は全国から36件の応募があり、識者らでつくる選定委員会が受賞10社を選考した。優秀賞はアワード大賞(1社)に次ぐ賞で2社が選ばれた。
開業から12年
同社は2012年の設立以来、生活困窮者向けの賃貸や売買に積極的に取り組んできた。不動産事業者として生活困窮者と賃貸オーナーの間に入り、入居後の見守りや仕事の世話、フードバンクを活用した食料支援にも取り組み、社会生活の安定や定住を支えている。
エステティシャンから不動産業に転職した石塚さんは母親の介護をきっかけに任意団体を立ち上げ、介護保険では支援が及びにくい家事援助サービスの提供を始めた。2011年にはNPO法人ワンエイド(松本篝理事長)として法人化した。
勤務先の不動産会社では、「住まいに困った人たちのほとんどを門前払いせざるをえなかった」といい、将来の独立に向けて宅建免許の取得に挑戦。四度目の受験となった12年に宅建免許を取得すると、同年に「絶対に見捨てない」「門前払いにしない」を理念に掲げる不動産会社として(株)プライムを開業した。
開業から10年以上が経ち、志を共有する同業者や賃貸オーナーとの連携の輪が広がり、今では毎月100件以上の住まい相談に対応している。石塚さんは「ホームレスでは生活保護が受給できない。保護の前段階の人は、生死や路頭に迷う人ばかり」と話す。
こうした石塚さんの活動を知り、全国から身を寄せる人が後を絶たず、仲介できる物件にも限りがある。
そのため開業から自社物件の購入を進め、現在までに250部屋まで増やしたが、それでも物件不足は解消せず、満室状態が続いている。
なぜ応募
今回の不動産アワードは「そんな実情が少しでも世間に広まってくれれば」との一念で応募。受賞した今、地域に向けて「社会には住宅弱者が多くいて、私たちのような不動産屋さんもいる。同業者には、事業として成り立つことも知ってもらえたら嬉しい。国には、不動産事業者がこうした支援に参入しやすくなる基盤整備に取り組んでもらいたい」と発信する。
石塚さんと同様に「断らない相談支援」で全国から注目される座間市福祉部参事の林星一さんは、「行政と特定の不動産業者が直接連携することは難しいが、石塚さんが関わるNPOを通じた協力体制が構築できている。この連携に救われた人は数多いる」と話す。さらに「業種にかかわらず、互いの立場を理解して地域全体で出来る最大限の支援を探すことで救える人が大勢いる」と述べ、同社の受賞を喜ぶ。
石塚さんは、「今後は老人ホームや障がい者向けのグループホームなど、他の角度からも住宅問題に取り組んでいきたい」と、さらなる連携先を模索している。
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