♯みゅーじっくコラム♭ 音楽の森 ピアニスト 倉本 卓
先日、世界的ピアニスト、マレイ・ペライアのリサイタルへ行ってきました。ウィーンではよく聴いていたのですが、なかなか日本へは来ないので今回はウィーン以来久しぶりの生演奏を聴けるとあって楽しみにしておりました。最初のバッハの音が鳴った途端、私のすべての五感が満たされました。こんなに美しく、エレガントな演奏を聴いたのはいつ以来だろう。実に美しいタッチ、いつまでも流れ続ける音楽。甘い音色。究極とまで言える完璧な音楽が目の前で奏でられている幸福感。ウィーンで聴いていた頃は、ここまでの感動を受けませんでした。ペライアも過去2度ほど手の故障で演奏活動を休止していたそうです。そうした試練を乗り越えた音楽が先日の演奏だったのでしょう。私の尊敬するピアニスト、ラドゥ・ルプーとは親友だそうですが、とても分かる気がします。テクニックを誇示しバリバリ弾きまくるピアニストが多い中、二人は聴衆の心の中に語りかけることができる数少ない叙情派ピアニストです。素晴らしい音楽を聴いた後の帰路は幸福感に満たされていました。
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