5月17日・24日に開かれるネイチャークラフト教室で講師を務める 城所 貢さん 愛川町中津在住 68歳
引き出しいっぱいの先生
○…「自然にはなんとなく人を優しい心にする力がある」とにこやか。松ぼっくりやどんぐりに、かぼちゃの種…。身近にあるものが想像力次第でラッパを奏でるリスや愛らしいヤジロベー、さらには豚をかたどったキーホルダーにもなる。制作のコツは木の実や枝といった素材を自由な気持ちで眺めることで「同じ種類でも長かったり短かったりと個性豊か。それも楽しんじゃう」。家の中にはこうして生まれた作品たちが所狭しと並んでいる。
○…ネイチャークラフトとの出会いは約8年前。造園関係の営業を定年退職した後に勤めたのが宮ヶ瀬ビジターセンターで、木工教室を任された。もともと釣りの毛バリを手づくりしてしまう位の器用さを持ち、趣味の山歩きで丹沢の山々や動植物にも詳しかったことから「興味があったわけじゃないが、目覚めちゃった」と。同センター退職後は、あいかわ楽習応援団みんなの先生に登録し、学校や公民館等でたびたび指導を行っている。
○…安全な工具の使い方にはうるさいが、作品づくりに関しては至って静か。一人ひとりに、その発想を大事にしてほしいという思いが強い。それでも、ほったらかしではない。木の実のでき方や種類の違い、動物がどうやって食べるかなど、豆知識を小出しにしながら、ぐいぐい間に入り進み具合をチェックする。飾らない言葉も、一緒にやっている感があり好評だ。
○…モノがなかった時代で、幼い頃から「遊び道具は自分で作ったものだ」と振り返る。山に川にと遊びまわった経験は知識となり、クラフトの先生の時もあれば、魚の先生になることもある。家の倉庫には箱に分類されたクラフト素材が整然と並び、作品はすこぶるかわいい。見た目の割にという声には決まって「作品は顔じゃなくて手で作る」と笑い飛ばす。会話に必ず挟んでくるあらゆる小ネタの仕入れ先はもっぱら読書。研究熱心で勉強熱心だ。