町内の外国籍の人たちを対象に日本語教室を開いている 山田 正芳さん 愛川町中津在住 74歳
”かわいい”日本語先生
○…愛川町の外国人住民は945世帯、2142人に上る(2013年7月1日現在)。所属する愛川国際交流クラブでは、言語や文化の違いから生じる違和感を少しでも解消して異文化共生につなげようと活動する。毎週土、日に中津公民館で開いている日本語教室もその1つだ。ブラジル、ペルー、ドミニカなど参加者は年齢も国籍もさまざま。毎回15名程度が集う。「1人教えると友達を連れてきたりしてね。どんどん人数が増えてきた」と。
○…母国語もバラバラの人たちにどうやって日本語教えるのが良いか。考えた末にたどり着いたのがプロジェクターを使用し、絵を見て理解してもらう方法だった。現役時代は機械・電機の設計に携わり、海外でモノづくりの指導をしたこともある。その経験から単に知識を詰め込むのでは効果がないことは知っていた。これが生徒たちに大好評。習熟度に合わせた日本語の検定試験に向け、みな意欲十分で勉強に励んでいる。
○…学びから始まった交流は、食や舞踊へと広がりを見せている。日本語教室で料理が得意な人がいると聞けば、講師を依頼。3月に開いたブラジル料理教室では定員を超える30名以上の応募があったという。このほか、イベント等で民族舞踊を披露してもらうなど、一方的ではなく、相互の関係を築くことを大切にしている。「みんなが地域でできることでお返しをしよう」が教室での合言葉だ。
○…北海道出身。「人のつながりが大切」という言葉の通り、今でも学生時代や会社勤め時代の仲間と集まることもしばしば。家での楽しみはもっぱらパソコンの勉強。整った会の手づくり資料の数々がその腕を物語る。みんなに教えているだけあって、場を和ませる冗談も上手。「俺、卯年生まれ。だからかわいいだろ」と小柄な体を一層すくめてほほ笑んだ。