9月4日に厚木警察署長に着任した 清水 昭人さん 第95代署長 56歳
知って守る、街の治安
○…「(神奈川県東部から)初めて相模川を渡りました」とうれしそうな笑顔。厚木市と愛川町、清川村を管轄する厚木警察署の第95代署長に就任した。「私たちにしかできない仕事とはなにか」と常に自問し続け、38年目。「街の治安を守れるのは警察官だけ」。誰のため、何のために職務に当たるのかしっかり考えてほしい―。着任のあいさつで署員に語りかけた。
○…北アルプスを望む、信州松本の出身。ドライバーの両親のため、兄と二人、学校から帰ると雪かきや風呂焚きで家事を手伝った。雪山に朝日が当たり赤く焼ける様がそれは美しかったこと、松本城のお堀で弁当を食べたこと。ふるさとを語れば、自然と口調に愛情がにじむ。「今は、朝起きて目に入る大山が、故郷の景色となんとなく似ているように見えてね」と目を細める。高校時代、味に惚れて通いつめるうちアルバイトに誘われた、松本市内のレストランどんぐりのスパゲティも、郷愁をくすぐる話題の一つだ。
○…高校卒業後、神奈川県警に入職。親元を離れた直後は一抹の寂しさもあったが、400人の同期と訓練に励んだ。記憶に残るのは、山岳救助隊としてパトロールをしていた丹沢山中での経験。沢登り中に20m滑落した男性遭難者を6時間以上かけて麓に下ろし無事に、救急隊へ引き渡した。訓練が実践に活きた達成感は今でも忘れない。
○…着任後すぐに、管内の市町村長を訪ね、顔を合わせた。文化や名産品など、まちの特色を少しでも早くつかむため、交番や駐在所の署員とコミュニケーションをとるなど、「土地の良さをどんどん知っていきたい」と意欲的だ。単身赴任中の現在は、前の晩に用意した味噌汁と、自作の切り昆布の佃煮や目玉焼きで朝食をとり、簡単な昼食も持参する家庭的な一面を持つ。息子3人のうち長男が背中を追う。「相談なしに、合格してから報告を受けたんです」と父の顔がちらり。