愛川町消防本部消防長に就任した 石川 省吾さん 愛川町田代在住 58歳
「プロ意識」を常に
○…愛川町消防本部68人の先頭に立つ消防長に4月1日付で就任した。消防人生40年、長く救助隊として人命の関わる任務を経験してきた。常に心に置く言葉は「プロ意識」。職務とユニフォームに誇りを持ち、消防のプロとしてどうあるべきか自問自答し続ける。
○…九州福岡生まれ。小学4年で神奈川へ。愛川に住んで30年になる。小学校から高校までサッカーで汗を流した。消防署に勤務していた先輩に声を掛けられ消防職員に。「当時の愛川町役場サッカー部は強かった。体を動かす仕事で、サッカーもできて良いな、と思って」と振り返る。町の消防署は設立したばかり。少人数で職員の年齢も近く「家族みたいな雰囲気で楽しかった」と目を細める。しかし、現場を経験することで徐々に意識が変わっていった。「責任」と「覚悟」を心に刻み、プロ意識の大切さにたどり着く。
○…阪神淡路大震災と東日本大震災の被災地は人生に一石を投じた。災害派遣現場は凄惨を極め、消防力をはるかに上回る自然の脅威に圧倒された。重機が足りず、生き埋めになった人を救助するため6時間手作業で瓦礫を撤去した。「オレンジの服を着る意味、自分の仕事の重さを改めて感じた」と力を込める。今の町消防は世代交代の過渡期。課題は若手の現場経験不足だ。「10回の訓練より1回の現場。自分もそう教わりました。火が消えた後でもいいから必ず現場を見る。そこでしか学べないものがあるんです」。消防の魂は脈々と伝承されていく。
○…2人の娘は独立し夫人と二人暮らし。趣味は釣りで、鮎シーズン中は時間があれば中津川に通う。「昔はなかなかできなかったから」と、夫人とバスツアーなど旅行にも良く出かけるおしどり夫婦の一面も。